株式会社アースアンドヒューマンコーポレーション|国際協力に携わる企業

食、水・衛生、保健の事業を住民とともに

 アースアンドヒューマンコーポレーションは、西アフリカ地域を中心に、水・衛生や保健、コミュニティ開発などの分野に高い専門性を持つ。

 農業や教育、環境などの事業、中近東やアジア、中南米地域の案件、全世界を対象とした事業評価も展開。国際協力機構(JICA)などが実施する政府開発援助(ODA)案件への参画に加えて、民間企業との連携事業にも踏み出し、新たなビジネスの可能性の発掘にも注力している。

 現地に寄り添いながら事業を進めてきた同社の深井義雄社長が懸念するのはウクライナ危機による食料問題への影響。「停戦となってもすぐに課題は解決しないだろう。さまざまなスキームを活用し、保健や教育のなどの事業との連携も含め、柔軟性を持って食料問題に取り組む」と力を込める。

 設立当初、深井社長をはじめ、西アフリカで活動した青年海外協力隊出身者が集った。現在も社員の半数以上が協力隊経験者だという。高い専門性と技能を持ったスタッフが、地域住民の視点を大切にしながら事業を進める。

 採用にあたっては「途上国において2年以上の業務経験」「TOEIC720点相当以上、もしくは仏語検定2級相当以上の語学力」の二つの条件が設けられている。あると望ましい要件として、国内外の大学院修士課程修了以上の学歴と、途上国支援分野での専門性が挙げられている。また、業務に対する前向きな姿勢が重視される。定期募集は行っておらず、募集情報はホームページに掲載する。

当社の2030年構想

政情不安が続く国で食料の安全確保に挑戦

 ブルキナファソの人口は2090万人ですが、その国で150万人以上が国内避難民となり、100万人以上が農作業に従事できず、360万人分の食料が日々不足しています。

 現在、国際協力機構(JICA)の業務として同国農業大臣の政策アドバイザーを務めています。SDGsの目標2「飢餓をゼロに」の達成には、食料の安定確保と持続可能な農業の推進が不可欠ですが、同国内には大きな川はありません。

 道路と同時にため池を整備する、乾燥に強いトウモロコシや大豆を栽培する、少雨に強いバオバブを植えて葉を食用する、などが議論されています。食を支え、レジリエントな農業の実践へ、過去の経験を最大限に生かし、目標を達成したいです。

社員さんに聞きました

水の管理では収入は増えない
市場志向型の農業を知り
最初は自主的に展開

後藤雅哉さん(事業部第1課)

 東京農業大学の農学部農業拓殖学科(現・国際食料情報学部 国際農業開発学科)卒業後、青年海外協力隊でセネガルに派遣されました。村を回って、野菜作りの普及に取り組み、外国資本のホテルにも野菜を売りに行きました。仲間とともに新しいものをつくり上げていく楽しさを知りました。
 

ニジェールの女性グループに対し説明を行う後藤さん(右)

 当社に入社し、セネガルで水管理組合の設立を進める中、余っている水を使って野菜を育て始めました。そのころ、「市場志向型の農業振興」というアプローチを知り、最初は自主的に、その後は本格的に取り組みました。これは、物をあげない事業です。最初に「何もあげられないけど、一緒にやってみないか」と話すと、半数くらいの人は興味をなくします。しかし、1つでも成功例が出てくれば、「あそこでは、なぜ収入が増えたのか」という関心から、参加者が増えます。

セネガルでの住民たちによる話し合い

 市場で農作物を売るために重要な情報の集め方、販売などの実績の記録の仕方を教えています。読み書きができない人には、学校に通う子どもや近所の人に頼んで記録するように指導しています。

住民への聞き取りの様子

略歴

・18歳:海外への関心から、東京農業大学農学部農業拓殖学科へ。築地市場でアルバイト
・27歳:海外青年協力隊でセネガル派遣。村々での野菜栽培の普及や販路開拓に取り組む
・30歳:農業や食に関する本を発行する「家の光協会」に就職。協同組合運動に関心を持つ
・39歳:アースアンドヒューマン入社。水に関わる事業を経て、市場志向型農業支援を担当

会社データ

株式会社アースアンドヒューマンコーポレーション
・設立:1996年
・資本金:1,000万円
・従業員:22人(2022年7月現在)
・本社:東京都町田市
・住所:〒194-0041東京都町田市玉川学園8-3-23
・Tel:042-710-7661
・Mail:ehcjapan@ehcjp.com

『国際協力キャリアガイド22-23』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

キャリア相談をする

タイトルとURLをコピーしました