公共調達を担う責任と新たな事業領域への挑戦
1989年に設立された日本国際協力システム(JICS:ジックス)は、日本の政府開発援助(ODA)や各種の開発途上国支援において、調達業務や管理業務などを行う、日本で最初の調達専門機関だ。世界150ヵ国以上の国・地域に対して資機材、施設、サービスを購入する「調達」業務を担う。
JICSの強みは公共調達のルールに則った「調達」の専門知識やノウハウ、スピードに留まらない。国内外の多くの実施機関やステークホルダーのとの人的ネットワーク、英語、フランス語、スペイン語などの高い語学力に加え、建設・環境・医療・IT文化などさまざまな分野の専門性をもった人材が揃っており、確実で誠実な仕事ぶりは関係者から高い評価を得ている。
また、高い評価に甘えることなく、新しい事業領域への挑戦にも積極的に取り組んでいる。持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する民間企業などの海外進出を支援するほか、調査・審査・監査などの技術的・専門的サービス、紛争・災害後の緊急復興支援、平和構築にも力を入れている。
入職にあたっては、国際協力業界におけるインテグレーターとして活躍するための問題解決能力と関係者間の調整能力、コミュニケーション能力が求められる。また業務に必要な知識を自ら選ぶ姿勢も欠かせない。入職後はOJTや研修によって、公共調達のルールを取得でき、社会人として必要な簿記やITの基礎、語学スキルの習得には報奨金や受験料補助制度が充実している。
当機関の“2030年構想”
SDGs達成のために
最大限の効果を!
JICSは設立以来、一貫して日本の政府開発援助(ODA)に関わり、主要業務のひとつである調達代理業務で携わる無償資金協力プロジェクトでは年間200件以上のプロジェクトを実施しており、そのすべてがSDGsの17の目標達成に寄与しています。
調達代理機関としてJICSは、単にSDGsの目標を達成することに留まらず、その効果を最大化するために組織や個人として、どのような配慮と行動が必要なのかを考えています。具体的には、自主勉強会で持続可能な調達の実現方法について検討を行い、SDGsの専門家を招いて講演会を開催するなど、高い理念で行動するための努力を欠かしません。
職員さんに聞きました
仕事や家庭の環境変化に
合わせて守備範囲を広げ、
自らの力を深めていく
「農業を通じて困っている人の役に立ちたい」という思いがあり、大学院修了後は青年海外協力隊の村落開発普及員としてベナンへ赴任しました。しかし、家庭の事情により任期途中で帰国し、就職活動でも国内にいながら途上国支援に貢献できる仕事を探した結果、JICSに入団しました。
入団当初は、ミャンマーで洪水にも強い高床式の小学校を約80カ所ものサイトに建設するという難しい案件があり、プロジェクトマネージャー、現地のカウンターパート、コンサルタントなどと協力して仕事を進める大変さと楽しさを経験しました。
現在は、技術課で仕様書作成業務に携わっています。機械の原理や性能を調べることが得意なので、現地のニーズも確認しながら、適切な仕様を確認し、仕様書を作成していくのは好きな仕事の一つです。
2019年に産休・育休に入りましたが、翌年4月の復職時期と新型コロナ感染症の流行が重なり、出社できない状況でした。このため、パソコンを自宅に届けてもらい、在宅勤務で復職しました。今後は現地調査にも挑戦するとともに、より複雑な品目の仕様書作成にも取り組めるようになりたいと考えています。
略歴
24歳:大学院修士課程(農学)を修了後、青年海外協力隊に参加しベナンへ渡航
26歳:JICS入団。カンボジアやミャンマーで施設案件を担当。現地駐在員も経験
29歳:技術課に異動。医療機器や車輛など、ODA案件の機材の仕様書作成を担当
30歳:産休・育休を取得後に復職
法人データ
名称:一般財団法人日本国際協力システム(JICS)
設立:1989年
資本金:3億8,700万円
従業員:125人(2022年3月1日現在)
本社:東京都中央区
海外拠点:アジア、中東、アフリカ、中南米など20カ国(ローカルスタッフ所在地)
住所:〒104-0053 東京都中央区晴海2-5-24 晴海センタービル5階
Tel:03-6630-7870
Mail:jinji@jics.or.jp
『国際協力キャリアガイド22-23』掲載
(本内容は、取材当時の情報です)
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