日本テクノ株式会社|国際協力に携わる企業

安全な水の供給は貧困削減のゲートウェイ

 日本テクノは1976年の設立以来、政府開発援助を通じて開発途上国の村落休止、上下水道、衛生改善にソフトとハードの両面から取り組んできた。当社が関わった給水事業の対象国は60ヵ国以上にわたる。特にセネガルやガンビア、ザンビア、イエメン、パキスタンなどでは、日本による休止分野の支援開始時から一貫して事業に参画しておる、高いプレゼンスと信頼を得ている。

 コロナ禍で安全な飲み水の確保だけでなく、手洗いの重要性も増している。持続可能な開発目標(SDGs)が掲げる「誰一人取り残さない】という思いで、もっと”地に足の着いた”ベーシック・ヒューマン・ニーズ(BHN)の充足に再び目を向けていく必要がある。

 SDGsのゴール1には「貧困をなくそう」が掲げられる。給水だけでは貧困は削減できないが、大きく深い貧困という課題を解決するためのゲートウェイ(入り口)となり得る。安全で安心した水の供給が確保されているからこそ、次の開発につながり、より包括的な地域開発が可能になる。そして、栄養改善、農業など他分野と連携を目指すマルチセクタープロジェクトの先導役を担うという新たな使命も生まれてくるだろう。

 一方で、今後は公的資金だけでなく、民間投資を含む多様なスキームによる改善事業に対しても、高い専門性と新しい発想によるコンサルティングサービスを目指していく。

 採用は、専門性を延ばしていける素地をもった人を求めている。通年採用を行っている当社では、随時応募を受け付けている。

当社の“2030年構想”

新技術と経験生かし
水不足解消を目指す

 気候変動も大きな原因の一つとなり、世界には水不足が蔓延しています。当社は、「海水淡水化事業」で水不足の解消に貢献しています。近年は海水より安価に飲み水を作れる資源として、下水が注目されています。下水の浄化処理(再生水)には日本が開発したシステムが利用されており、これを活用するため、当社ではチュニジアで下水の再生水案件の準備調査を行っています。

 地方給水プロジェクトで動力源として再生可能エネルギーを使い、脱炭素化を図る取り組みを行っています。(上記写真)また、漏水を削減し、現状の送水量を減らすことでポンプの電気使用量を削減するなど、エネルギー消費を削減することで、気候変動問題に対応しています。

社員さんに聞きました

土木上水道の人材育成事業
現地職員の変化や成長が
大きなやりがいに

佐藤伸幸さん(技術本部技術第二部、シニアコンサルタント)

 小学生の頃、学校にあった世界地図を見て、「世界は広い。海外に行ってみたい」と思うようになりました。高専で土木工学を学び、その後も特に上下水道を専門に仕事をしてきましたが、ずっとその思いを持ち続けていました。

ポンプ模型を活用した研修の支援

ポンプ模型を活用した研修の支援

 現在はパキスタンで、上下水道公社職員の能力強化のためのプロジェクトを実施しています。職員が現場サービスの向上に運用できるような技術研修などのサポートを行っています。このプロジェクトには準備調査段階から携わってきたので、現地職員の変化や成長の様子を間近に感じられ、嬉しく思うと同時にやりがいも大きいです。

簡易測量機材を活用した研修の支援

簡易測量機材を活用した研修の支援

 コロナ禍ではオンラインで研修を行っていました。対面とは違って話が伝わらなかったり、変化を気づくことができなかったり苦労しました。しかし、コロナ前から関係を築いてきた現地のスタッフと連携し、なんとか乗り越えることができました。

パキスタン国ラホール市の雨天時

パキスタン国ラホール市の雨天時

 今後、コンサル業界に若い人材を呼び込むためには古い慣習を見直すなど、好循環を生むための変化も必要だと感じています。

略歴

15歳:長岡工業高等専門学校・土木工学科に入学。恩師との出会いで考えの幅を広げる
21歳:米国のノースカロライナ大学に進学。学部生以外にもさまざまな人と交流
33歳:長岡技術科学大学博士課程で、インド下水処理場の運転・評価について研究
50歳:日本テクノ入社。パキスタンやホンジュラスでの上下水関連の事業に携わる

会社DATA

名称:日本テクノ株式会社
設立:1976年
資本金:8,600万円
従業員:32人
本社:東京都新宿区
海外拠点:イラク国クルド地域エルビル市
住所:〒160-0023 東京都新宿区西新宿4丁目15番7号パシフィックマークス新宿パークサイド
Tel:03-6703-0510
Mail:jat-tyo@jat.co.jp

『国際協力キャリアガイド22-23』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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