移行支援を行う国際開発金融機関
欧州復興開発銀行（European Bank for Reconstruction and Development:EBRD）は、中東欧、中央アジア、地中海沿岸にある国・地域の市場経済への移行（トランジション）支援と民間セクター育成を行う国際開発金融機関だ。弊行は、製造・サービス、エネルギー、運輸、地方環境インフラ、アグリビジネス、情報通信、金融、不動産・観光、中小企業などのさまざまなセクターを融資、出資、保証、技術協力、政策対話などにより支援している。近年は、グリーン経済移行、ジェンダー平等、デジタル化、資本市場育成などの分野にも注力しており、年間投資融資に占めるグリーンファイナンスの割合を50％超まで高めることを目標として取り組んでいる。
日本は、弊行の設立当初から加盟国であり、主要西欧諸国に並ぶ第2位の出資率（約9％）を有する株主だ。しかし、日本人職員の割合は、出資率に見合う程多くはないのが現状。職員として活躍できる有望な日本人の方を募集している。国際経験豊かな方、さまざまなセクターで活躍している専門知識をお持ちの方、国際貢献したいとの熱意をお持ちの方など、幅広く募集する。特に、ジェンダー平等を推進しているため、女性職員の活躍が非常に目覚ましい職場である。
2011年より若手専門職員育成を目的としたインターナショナル・プロフェッショナル・プログラム（IPP）という採用プログラムも導入している。毎年12名程度の採用が行われている。
当機関の“2030年構想”
温室効果ガスの
年間排出量削減へ
5年に一度、中期経営計画に相当する次期戦略・資本枠組み（SCF）を発表しており、2020年度年次総会にて「SCF 2021-2025」を採択しています。その中で、EBRDはグリーン・エコノミー・トランジション・アプローチを通じて、グリーンで低炭素な経済への移行を支援することを発
表。国際開発金融機関の中で気候変動対策への取り組みでフロンティアとして認知されています。2025年度までに、グリーンファイナンスの年間投融資比率を50%以上に引き上げるとともに温室効果ガスの年間排出量をネットで2500万～4000万トンを削減することを目標としています。日本企業向けに、EUタクソノミーやESＧ投資などのテーマで定期セミナーも開催しています。
社員さんに聞きました
吉田佳世さん（プライベートエクイティチーム（セルビア・ベオグラード事務所在勤）プリンシパル）
大学時代の初めての一人旅で、中南米でバックパッカーを経験し、途上国で働いてみたいと思いました。卒業後、学生時代にインターンシップをした投資銀行に３年勤めましたが、MBA取得に向け大学院進学を決意。国際機関で働くことを目標に、MBA取得後はガーナの投資ファンドで就業経験を1年ほど積みました。その後、IPPプログラムを通じEBRDに入行。民間で働いた経験が活かしやすい国際機関であり、現地の民間企業と共にスピード感のある仕事ができます。
クロアチアのプロジェクトサイトにて 1
誰もマジョリティでない環境で多種多様な人たちと共に働くことが私にとって居心地が良く、また数年ごとに新しい地域や立場でのチャレンジができることが良い刺激となっています。今年の1月からは西バルカン地域のエクイティ案件責任者としてセルビア事務所に赴任しています。文化理解のため、常に自分の引き出しを増やすよう努めています。
クロアチアのプロジェクトサイトにて 2
世界的に有名な企業が少ないこの地域で、西バルカンを代表するような企業を育てることが今後の目標です。
ミーティングの合間に顧客とランチ
略歴
20歳：JPモルガン証券（東京）にてインターンシップを行う。休みに中南米への一人旅を経験
22歳：JPモルガン証券に就職。国際機関で働くことを目標に、MBA取得のため退職
26歳：INSEADへ進学しMBA取得。Jacana Partners（ガーナ）で投資家として勤務
27歳：IPPプログラムを通じてEBRDに入行。現在はセルビア事務所に勤務
組織DATA
名称：欧州復興開発銀行（EBRD）
設立：1991年
授権資本額：300億ユーロ（2021年末現在）
従業員：約3,000名／うち日本人26名（2022年8月15日現在）
本社：英国ロンドン
海外拠点：中東欧、中央アジア、地中海沿岸の支援対象約40か国・地域の主要都市、東京（2022年8月15日現在）
住所：（東京事務所）〒100-0001東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル23階2311号室
Tel：03-6205-7061
Mail：EBRDTokyo@ebrd.com
『国際協力キャリアガイド22-23』掲載
(本内容は、取材当時の情報です）
