協力隊経験者からの学び 国内外で異文化理解の機会増やす
ゼミ開始時に協力隊経験者が講話
文京学院大学は1924年に創立された。戦後は科目範囲を幼児教育や保健、経営へと拡大していった。現在の名称になったのは2002年だ。大学院もあり、外国語研究科は平日夜間に開講している。
国際教養専攻では、3年次に「国際協力」「国際文化」「英語教育」の3コースから1つを選択する。1年次は語学や教養を身に付ける授業が主だが、2年次からは語学に加えて各コースの専門科目を学ぶ。
国際協力コースには、「国際協力機構(JICA)の海外協力隊に入りたい」「ジェンダーや貧困に関心がある」「NPO/NGOや一般企業で国際協力に関わりたい」と考える学生が男女問わず集まっている。授業は少人数制で教員との距離も近く、学生自身に考えさせるアクティブラーニングが重視されている。
同コースを担当する甲斐田きよみ准教授は、「私のゼミでは、ジェンダーと開発をテーマの一つにしています。ゼミに入ってすぐにJICA海外協力隊の経験者から話を聞く時間を設けており、学生は国際協力の現場に携わった人の話を直接聞くことによって、開発課題への関心を深めます。
また、開発教育教材をグループで作成し、学園祭などで発表することもあります」と語る。
ネパールで農業体験含むフィールドワーク実施
国際協力コースの最大の特色は、アジアで実施するフィールドワークだ。甲斐田准教授のゼミでは、3年次の学生を対象に2月に10日間ほどネパールでフィールドワークを実施している。現地ではNGOラブグリーンの活動地の村で1泊2日のホームステイで農業を体験したり、海外協力隊員の活動先で一緒に活動したり、現地の学校で授業をしたり、農村で調査を行ったりと、さまざまなプログラムが用意されている。フィールドワーク出発前は国内での事前授業を複数回行う。「現地調査は、現地の人々と接し、現状を深く理解する貴重な機会になっています」と甲斐田准教授は強調する。
甲斐田准教授は現在、日本で増えている在留ネパール人の生活状況を調査しており、今後、彼らとゼミ生との交流の場を設けたいと考えている。「国際協力では欧米の基準に捉われずに多様な価値観を理解することが大切です」と甲斐田准教授。国際協力を一生の仕事にできる人材を育てるため、海外だけでなく日本国内でも多様性を学ぶ機会を積極的に作っていく予定だ。
※グローバル化の時代、大学・大学院など高等教育の現場でも国際化が進んでいます。このコーナーでは、アジアをはじめ世界とのさまざまな「知的交流」に向けた取り組みや国際協力を学べる大学を紹介します。情報提供お待ちしています。
『国際開発ジャーナル2021年1月号』掲載
(本内容は、取材当時の情報です)