オンラインでカナダ留学を実現
国際会議で研究発表する機会も
企業アナリストの講演や事例研究を実施
横浜市は2010年から、街づくり・上下水道・廃棄物処理などで培ってきた技術・知見を生かして、新興国の都市の課題解決に取り組んでいる。横浜市立大学も、グローバル教育やグローバル人材の育成を通じ、その一翼を担う。
そうした取り組みの一つとして、国際商学部には2年生を対象にカナダのウェスタンオンタリオ大学(以下、WO大学)へ3週間留学するプログラムがある。ビジネス・経営などの専門科目を学ぶほか、現地企業を訪問する機会もある。昨年はコロナ禍によりオンライン形式での実施となり、カナダの企業アナリストの講演や、講演を踏まえた学生による事例研究が行われた。
国際交流担当係長の石原希実氏は“オンライン留学”が実現した経緯について、「コロナ禍といえど中止にはしたくなかったので、国際商学部の吉永崇史准教授とWO大学に『オンラインでやりたい』と打診したところ、快諾してくれました」と語る。WO大学がイニシアティブをとってうまく進めてくれたという。吉永准教授は、「オンライン留学は今年度も実施する予定です。将来は渡航と併用するなど、多様な形で実施していければ」との展望も示す。
さらに同学部ではここ数年、学生が横浜市主催のアジア・スマートシティ会議のサブセッション「Yokohama Youth Event」で研究発表を行っている。今年1月の第9回セッションでは、4年生のチェ・ミンヒョク氏と下郷るん氏、角あゆみ氏がポストコロナ時代のアジアの未来をつくる人材についてスピーチした。同会議の運営にも関わる太田塁教授は、「アジア新興国の都市の代表、世界銀行やアジア開発銀行の職員なども参加する中、発表者は英語でスピーチおよび質疑応答をしなければいけないので、実践的な英会話の貴重な機会となっています」と語る。
留学生受け入れに伴いチューター制度も
同大学大学院国際マネジメント研究科では、2014年から国際協力機構(JICA)「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(ABEイニシアティブ)」で来日した留学生を受け入れている。それに伴い、同大学では英語で行う講義と研究指導を新設したほか、学内の諸手続きも英語でできるようにして、体制をよりグローバルなものへと変えた。
さらに、留学生には同じ研究科の学生がチューターとして付く仕組みも設けた。「日本人の学生にとっても異文化理解、英語力強化の機会になっています」と、同研究科の白石小百合教授は語る。今後もABEイニシアティブの留学生の受け入れは継続していくという。他のJICA長期研修員プログラムの受け入れも検討しており、同大学は国際協力へのさらなる貢献を目指す。
※グローバル化の時代、大学・大学院など高等教育の現場でも国際化が進んでいます。このコーナーでは、アジアをはじめ世界とのさまざまな「知的交流」に向けた取り組みや国際協力を学べる大学を紹介します。情報提供お待ちしています。
『国際開発ジャーナル2023年6月号』掲載
(本内容は、取材当時の情報です)