人文・社会科学の幅広い知識と学生の国際協力への意欲を「つなぐ」
麗澤大学国際学部「日本」を「世界」とつなぐ
麗澤大学国際学部は、学長の主導により大学全体で持続可能な開発目標(SDGs)の取り組みを進める中、2020年に新設された。「多様性」と「つなぐ」をキーワードとしており、人文科学から社会科学まで幅広い知識をつなぐことにより、SDGsをはじめとする現代の課題に挑む。人文科学的な人間の“肌感覚”と、社会科学的現実感覚に基づくマネジメント力を融合させて、独創的で実効性の高いアイデアを生み出すのが狙いだ。
同学部では1~2年次に英語力と、母語・日本語も含めた言語運用能力を徹底的に鍛える。加えて多様性を知るため、「国際日本学」「グローバル経営・経済」「多文化共生」「国際開発・協力」「世界の地域」という5つの学び領域を設けている。
「例えば、国際日本学に関連するJapan Studiesという授業では、日本人が当たり前に思っていることを取り上げ、その自明性を“驚き”に変える“気付き”の体験をしてもらいます。多様性を理解するには、まず“自分たち”のことを客観的に捉え、モノゴトを捉える視点を確立する必要があるからです。その視点(視座)に立ち、日本と世界とつなぐことが国際学の根幹と考えています」と、同学部の野林靖彦学部長は語る。
主体的学びの場を創り、学生の活躍を発信
学生の自発性を養うPBL(課題解決型学習)を発展させた「自主企画ゼミナール」も、同学部の大きな特徴だ。学生たちが主体となって国際協力プロジェクトを計画・実行するもので、単位認定も受けられる。これまで、ミクロネシア連邦やカンボジアなどで活動が行われている。国際学部では、2022年2月に「高校生プレゼンテーションコンテスト」を開催する。日本の当たり前を世界とつなぎ、世の中にとって何か“良いこと”を提案・発信してみようというコンテストだ。このコンテストは産経新聞社の協力を得て、内容の企画から演出・運営まで国際学部の学生たちが一からすべて手掛る。また、コンテストに参加する高校生へのアドバイザーも務め、一緒にプレゼンテーションを作り上げていく。
「国際学部では、教員は“先生”ではなく“コーチ”です。例えばコンテストでも『コロナ禍の今、遠方からも参加できるようにしたらどうだろう』と、ヒントを投げかけますが、どうするかの答えは学生に考えてもらいます。さまざまな知識や体験をつないで、現実に対応していく体験は、社会に出てからもきっと役に立ちます。この学部の教育理念と、目指す育成人材像を、高校生など外部の人に知ってもらう好機にもなるはずです」と、野林学部長は期待している。
※グローバル化の時代、大学・大学院など高等教育の現場でも国際化が進んでいます。このコーナーでは、アジアをはじめ世界とのさまざまな「知的交流」に向けた取り組みや国際協力を学べる大学を紹介します。情報提供お待ちしています。
『国際開発ジャーナル2021年9月号』掲載
(本内容は、取材当時の情報です)