大学の国際化最前線|神戸大学大学院国際協力研究科(GSICS)

神戸から世界へ国際協力の先導者を育てる

 

国際公務員になるノウハウを伝授

 

 神戸大学大学院国際協力研究科(GSICS)は2008年度から、国際協力・国際開発の分野で先導的役割を担う人材を育成するため、「国際公務員養成プログラム」を導入した。

 同プログラムは、修士号を取得した博士課程後期の学生を対象としており、国際機関で働くための人材育成プログラムを多数用意する。世界銀行のような国際機関では、一定レベル以上の専門職種に採用される人の多くが博士号を取得している。博士号取得により国際公務員として採用される確率が高くなるという。国際機関でのインターンシップ参加を支援したり、英文履歴書やカバーレター(履歴書を補完する送付状)の書き方を教えたりもしている。

 その効果もあり、同プログラムは国際協力の最前線で活躍する専門家を多く輩出してきた。世銀本部では、教育分野の日本人専門家の20%を同プログラムの修了生が占める。修了生の一人である荘所真理(しょうじょまり)さんは現在、世銀アフリカ局上級教育専門官として20人近くのコンサルタントを雇用し、貧困削減や経済発展のため、アフリカ各国の教育省に助言を行ったり教育プロジェクトを実施したりしている。

 

 さらに、神戸大学は優秀な人材が集まり、飛び出していくハブ・キャンパスとしての機能を高めるため、中国の復旦大学国際関係・公共事務学院および韓国の高麗大学校国際大学院とコンソーシアムを形成し、2011年から「キャンパスアジア・プログラム」として、文部科学省の「大学の世界展開力強化事業」に採択されている。

 

世界屈指の大学院とのダブルディグリー

 2021年からは、同コンソーシアムにタイのチュラロンコン大学看護学研究科とラオス国立大学経済経営学部が新たに参画し、「異分野共創によるリスク・マネジメント専門家養成共同教育」を提供している。「同プログラムの参加者は、2年で2つの修士号を取得できる(ダブルディグリープログラム)。交換留学や短期研修、インターンシップも充実している。また、リスク・マネジメントに関するオンライン共同講義・セミナーの開催、キャリア支援、阪神・淡路大震災の被災地や北朝鮮国境へのフィールドツアーなど、多彩な学びの機会を提供している」と、同プログラムを担当する中原雅人助教授は語る。

 昨年12月には、神戸大学で国際シンポジウムが開催され、約3年ぶりにパートナー校の教職員および大学院生が来日して、さまざまな国際問題について熱い議論を交わした。

 昨年で創立30周年を迎えた国際協力研究科。そこには、国際協力・国際開発の分野で活躍する人材を育成するノウハウが蓄積されている。

 

※グローバル化の時代、大学・大学院など高等教育の現場でも国際化が進んでいます。このコーナーでは、アジアをはじめ世界とのさまざまな「知的交流」に向けた取り組みや国際協力を学べる大学を紹介します。情報提供お待ちしています。

 

『国際開発ジャーナル2023年6月号』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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