大学の国際化最前線|東京都市大学|国際協力が学べる大学・大学院

アジア・大洋州5大学との連携や
インターンで持続可能な発展を目指す

目標は在学生の海外留学率50%

 東京都市大学は、2015年に就任した三木千壽学長のもとで、国際化への取り組みを意欲的に進めている。三木学長は、国際協力機構(JICA)の実施するプロジェクトで東南アジア諸国の大学とネットワークを培った実績があり、13年から同学副学長(国際担当)を務めた際も、同学の学生とタイ、マレーシアなどの学生が交流する機会をつくってきた。

 同学の「国際化方針」では、持続可能な社会発展をもたらすため高い教養とコミュニケーション能力、実践的な専門力を備え、国際的に活躍できる「グローバル人材」を育成すると宣言。「在学生の50%以上が海外留学に参加」「卒業時にTOEICスコア650点」「留学生だけでなく教員・研究者・スタッフも積極的に海外から受け入れる」といった目標を掲げる。

海外の企業や研究機関で働く機会も

 特に充実を図っているのが、海外留学プログラムだ。例えば、2018年にはデラサール大学(フィリピン)、エディスコーワン大学(オーストラリア)、タマサート大学シリントーン国際工学部(タイ)、マレーシア日本国際工科院(MJIIT)と協定を締結し、「アジア・大洋州5大学連合(AOFUA)を設立。東京都市大学と4大学の相互交流(留学による単位互換、ダブル・ディグリーなど)に加えて共同研究、オンライン教育などを行う。

 相互交流の一環として、2019年にはサマーキャンプを初開催。AOFUAの学生たちが来日し、日本国際協力センター(JICE)から講師を招いてワークショップも開かれた。コロナ禍で対面開催は中断したが、23年に再開している。

 また2024年4月、東京都市大学の大学院環境情報学研究科にエディスコーワン大学との国際連携専攻(ジョイント・ディグリープログラム)を設置することも決まった。カーボンニュートラル社会の実現に向けた教育・研究に定評のある両大学で学び、条件を満たせば両大学の連名による修士号(環境学)が与えられる。

 学んだことを早期に実践する場として、海外インターンシップの機会も提供している。参加学生は2月または8月から、大学の長期休暇を利用する形で東南アジアを中心とする世界各国に渡り、平均で1カ月ほど現地の人と共に働く。派遣先は電子機器、自動車部品などのメーカーや特許法律事務所、研究機関など多彩だ。2011年度から2023年度の夏までに計349人を派遣し、コロナ前の2019年度には9カ国26社に73人を派遣した。

 こうした国際化事業の中で、東京都市大学が最も力を入れているのは1年次から参加できる「TAP」と、その上級プログラム「ATAP」だ。来月号で詳しく解説する。

 

※グローバル化の時代、大学・大学院など高等教育の現場でも国際化が進んでいます。このコーナーでは、アジアをはじめ世界とのさまざまな「知的交流」に向けた取り組みや国際協力を学べる大学を紹介します。情報提供お待ちしています。

 

『国際開発ジャーナル2023年10月号』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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