“都内留学”で公共政策もビジネスも学ぶ
8割以上が留学生
2014年に城西国際大学の東京・紀尾井町キャンパスに誕生した「国際アドミニストレーション研究科」は、国際的教養と総合的なマネジメントの知識・理論を併せ持ち、企業経営や公共分野で管理のできる人材を育成している。
講義は主に平日の夕方・夜と土曜日に行われ、社会人でも仕事をしながら単位・学位を取得することができる。授業やレポート提出などすべてを英語で行う「オール・イングリッシュ・コース」もあるため留学生も多く、その数は同研究科の院生の8割以上を占める。留学生は中国出身者を中心にネパールやミャンマー、ベトナム、欧米などの国々から受け入れてきた。鈴木崇弘研究科長は、「東京で働いていても国際色豊かな環境で学ぶことができます。こうした“都内留学”ができるのは、この研究科の利点です」と語る。
AIと地政学リスクの授業を新たに開講
同研究科では「政策研究」「国際研究」「国際企業研究」「観光研究」の4つの専門分野に分かれて、多様な授業科目が用意されている。院生は現在の職種や将来のキャリアプランに合わせて4分野のうち1つを選択し、高度な専門性を磨く。
第一線で活躍する外部有識者による公開講座、日本の国会や中央省庁、航空会社、IT企業などの見学、またはインターンシップなどを通じて「現場」を体験できる機会も多い。最近は同研究科の院生が宮城県気仙沼市で中国人観光客の視点から特産品のフカヒレなどを活用した食と観光振興について提言したり、東京都の支援で観光関連の幹部人材育成プログラムを開発・実施したり、持続可能なインバウンド観光に関する政策研究を行ったりと、実践的かつ積極的な教育・研究にも挑み、単なるアカデミックの枠を超えた活動をしている。今年4月には、政治リスクや地政学的リスクを研究する「政治リスク論」の授業を開講する。並行して人工知能(AI)関連の科目も開講予定だ。国際関係学や比較政治学を教える遠藤十亜希教授は、「近年はAIの発達などで社会も大きく変わってきましたが、日本の政府や企業の対応は遅れぎみです。21世紀に入って激変するマクロ的政治・経済環境を客観的かつ戦略的に分析することは、政府だけでなく企業、NPO、個人にも求められています」と語る。
さらに遠藤教授は、「公共政策とビジネスは密接に関わるものであり、本研究科は両者を同時に学べる数少ない場所だと思います」とも述べている。鈴木研究科長も、「国連機関に勤めるには文系でも修士・博士の学位が必要です。そうしたキャリアを狙う人や自分に付加価値を付けたい方、特に日本人は歓迎します」と期待を示した。
※グローバル化の時代、大学・大学院など高等教育の現場でも国際化が進んでいます。このコーナーでは、アジアをはじめ世界とのさまざまな「知的交流」に向けた取り組みや国際協力を学べる大学を紹介します。情報提供お待ちしています。
『国際開発ジャーナル2020年3月号』掲載
(本内容は、取材当時の情報です)