アフリカへの取り組みを加速研修生を積極的に受け入れ
ケニアの大学とダブルディグリー目指す
2014年度に文部科学省の「スーパーグローバル大学創生支援事業」に採択されるなど、国際化を進める日本の私立大学の中でもトップランナーの一校と言える東洋大学。
国際開発の分野においても、01年度には国際地域学研究科の中に「東洋大学国際共生社会研究センター」を創設し、アジアを中心に途上国開発の手法を探求してきた。15年度には、同センターの研究テーマを「アジア・アフリカにおける地域に根ざしたグローバル化時代の国際貢献手法の開発」に変更し、研究対象地域をアフリカにも拡大した。同センターのセンター長を務める北脇秀敏副学長は、「われわれの目標は、世界を俯瞰しながら普遍的な国際開発の手法を創造すること」とした上で、「今後、南太平洋や中南米にも研究対象を広げるのに先立ち、まずアフリカに研究基盤をつくりたい」と語る。
同センターは16年、ケニアのジョモ・ケニヤッタ農工大学と包括協定を締結し、日本で共同シンポジウムを開催するといった取り組みを進めている。北脇副学長は、「今後、これをダブルディグリープログラムにまで発展させ、学生の交流を活発にしていきたい」と抱負を語る。
日本人学生に大きな刺激
また、東洋大学は近年、日本政府が進めるアフリカの産業人材の育成プログラム「ABEイニシアティブ」にも積極的に関わっている。同イニシアティブが始まった14年に2人のアフリカの研修生を大学院に受け入れた後、15年には10人、16年には6人を受け入れている。
ABEイニシアティブ研修生の受け入れに関する調整業務を担当する国際地域学研究科の岡村敏之教授は、「研修生の受け入れは、アフリカの人材育成への貢献が第一の目的」とした上で、「実は、彼らの存在は日本人学生にも良い刺激を与えている」と指摘する。ABEイニシアティブの研修生は、皆、厳しい選抜をくぐり抜けて来日した現地政府や企業のエリートたちだ。研究に対する意欲も高く、プレゼンテーションの手法なども洗練されているため、彼らと席を並べて学ぶ日本人学生にとっても、得られるものは非常に多いと言う。
また、情報科学の専門家で、現在、ABEイニシアティブの研修生をゼミに受け入れている中挾知延子教授も、「彼らは人間性にも非常に優れており、日本人学生のたどたどしい英語にもしっかり耳を傾け、上手にほめてくれるなど、あたかも“兄貴分”的な存在だ」と微笑む。
このような取り組みを続ける中、同大学ではアフリカに関心を持つ日本人学生が徐々に増えているという。今後、日本とアフリカの架け橋となる人材が同大学から多数生まれてくることを期待したい。
※グローバル化の時代、大学・大学院など高等教育の現場でも国際化が進んでいます。このコーナーでは、アジアをはじめ世界とのさまざまな「知的交流」に向けた取り組みや国際協力を学べる大学を紹介します。情報提供お待ちしています。
『国際開発ジャーナル2017年2月号』掲載
(本内容は、取材当時の情報です)