株式会社アースアンド ヒューマンコーポレーション|国際協力に携わる企業(21-22)

コロナ禍で注目の水・衛生や保健に専門性

 新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、開発の分野では改めて、水・衛生や保健などの改善の必要性を訴えるものとなった。アースアンドヒューマンコーポレーションは、西アフリカ地域を中心に、水・衛生や保健、コミュニティ開発などの分野に高い専門性を持つ企業だ。

 農業や教育、環境などの事業、中近東やアジア、中南米地域の案件、全世界を対象とした事業評価も展開。国際協力機構(JICA)などが実施する政府開発援助(ODA)案件への参画に加えて、民間企業との連携事業にも踏み出し、新たなビジネスの可能性の発掘にも注力している。

 会社理念では、「いま地球は大きく病んでいます」「このような状態がこのまま続いた場合私たちの子孫はどのような地球で生活することになるのでしょうか」と問い掛け、病んだ地球をよみがえらせるための「きっかけ」や「ゆとり」を提供していくことを掲げる。

 高い専門性と技能を持ったスタッフが、地域住民の視点を大切にしながら事業を進める。これは設立当初、深井義雄代表取締役をはじめ、西アフリカ諸国で活動した青年海外協力隊出身者が集ったこととも通じる。現在も社員の半数以上が協力隊経験者という。

 採用にあたっては「途上国において2年以上の業務経験があること」「TOEIC720点相当以上、もしくは仏語検定2級相当以上の語学力があること」の二つの条件が設けられている。あると望ましい要件として、国内外の大学院修士課程修了以上の学歴と、途上国支援分野での専門性が挙げられている。また、業務に対する前向きな姿勢が重視される。

 定期募集は行っておらず、募集情報はホームページに掲載する。

わが社の働き方改革

柔軟な働き方と「健康経営」を推進

 同社では、25年前の設立当時から在宅勤務制度とフレックスタイム制度を導入しており、社員の9割以上がライフスタイルに応じた柔軟な働き方を選択している。

 また、国内と海外プロジェクトの往復が続くことが多い中で、職場環境やプロジェクト環境、仕事の量や質がストレス増加につながったりメンタルヘルスに影響を与えたりしないよう、課題を早めに解決することに社を挙げて取り組んできた。

 新型コロナウイルス感染症の流行後は、これまで以上に社員の健康管理に注力し、個々の社員のストレスチェックに加え、産業医を配置し、海外渡航を予定している社員が事前面談を行える体制を整えた。また、渡航する社員が多い国で万一の事態に備えて酸素濃縮器を配備したり、保険の内容を拡充したりしている。

 今後も健康経営を意識して、社員が多様で新しい働き方を選択できるよう環境づくりを進めていくという。

PROJECTFOCUS

保険制度担う職員に研修

 セネガルでは、誰もが負担可能な費用で医療を受けられるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の取り組みを進めてきました。入社以来この取り組みを支援するJICAプロジェクトに携わっています。

 制度を運用するのは、2015年に設立された医療保障庁やその支部、地域ごとの保健共済組合(MS)ですが、医療保障庁の職員の運用ノウハウは統一されておらず、MSを支える事務担当者なども同様です。彼らの中には1回の研修である程度技術が身に付く人やそうではない人がおり、ノウハウ強化のモニタリングも続けています。

 コロナ禍では同国で普及しているスマホアプリ「WhatsApp」も活用し、以前なら要望に応じにくかった村落部MSのフォローアップが容易に。さらなる技術定着を図るべく動画シリーズも開発、配信中です。その日の生活費を稼ぐのに精一杯で、未来や健康に投資することを考えにくい環境のセネガル。いつしかその価値に人々の理解が及ぶことで、医療保険制度がみんなの「当たり前」になることを願っています。

事業分野
農業・農村開発、環境・気候変動、水と衛生、保健・医療、貧困削減、教育、ジェンダー、民間セクター

社員さんに聞きました

事業部 第3課 西張 由希子さん

16歳:マンゴーを運ぶ少女を見ておそらくNGOの広告だと思いますが、高校時代、マンゴーを運ぶ女の子の写真を新聞で見ました。わずかなお金を稼ぐために学校に行けない子どもがいる現実に「何、これ」と思い、英語の授業の課題レポートに書いたのが原点です。

24歳:アフガン女性教員の研修お茶の水女子大学4年時、アフガニスタンの女性教員研修でインターン。あえて女性限定としなければ権利が守られないことに愕  然 とし、同大学大学院でジェンダーを専攻。現場経験を積むべく青年海外協力隊としてセネガルへ。

38歳:医療事情への関心が転機に開発コンサルティング企業で、ネパールの病院医療機材改善事業を担当し、装置を扱う人の技術が日本の画像診断の精密さを支えていると知りました。人の技術を育てること、医療や保険制度への関心が高まり、転職につながりました。

40歳:保険制度やUHCを担当アースアンドヒューマンコーポレーションに入社し、セネガルで医療保険制度の事業に従事、研修監理を担当することになりました。誰もが負担可能な費用で医療を受けられるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の調査も実施。

42歳:医療や教育で人に選択肢を現在、セネガルで教育の公平性・質向上について調査中です。協力隊時代に「子どもが亡くなった。神様が決めたこと」と言う親の声を聞きましたが、そうでない選択肢を選べるよう、質高く公平な医療や教育を広めたいと思います。

Infomation

株式会社アースアンド ヒューマンコーポレーション

設立:1996年
資本金:1,000万円
従業員数:22人(2021年4月現在)
本社:東京都町田市
住所:〒194-0041 東京都町田市玉川学園8-3-23
Tel:042-710-7661
Mail:ehcjapan@ehcjp. com 
HP:https://www.ehcjp.com/

 

『国際協力キャリアガイド21-22』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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