国際航業株式会社|国際協力に携わる企業(21-22)

防災やエネルギー分野で世界に貢献

 終戦直後の1947年、航空写真測量のパイオニアとして一歩を踏み出した国際航業は、国土開発に不可欠なさまざまな地図を作ってきた。その後、写真から地質や海洋の情報を読み取る「調査」、地図を用いて「計画」「設計」を担う総合的なコンサルタンのニーズに応じて防災や再生可能エネルギー分野に進出し、ミッション「Save the Earth, Make Communities Green」の下、「グリーン・コミュニティ」の実現を目指している。

 政府開発援助を通じた海外支援は1960年代に開始し、今や毎年30カ国以上で開発コンサルティング事業を手掛ける。業務分野は地理情報、水・衛生、森林、農業、防災、都市開発、エネルギー、地球温暖化対策など多様化している。中でも、候変動が引き起こす豪雨災害の頻発は、多くの途上国の社会経済活動に深刻な影響を及ぼしており、国際航業は国内の防災事業で培った地理空間情報技術を軸に、途上国のインフラの強靭 (きょうじん)化や監視・早期警戒体制の構築に貢献している。

 最先端技術を駆使する地理空間情報の技術・事業が高く評価され、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンや国連防災機関などの国際的な枠組みに参画し、民間の立場から日本の防災の仕組みを世界に発信している。

 海外コンサルティング部の約3割が青年海外協力隊出身者で、若手にも大きな仕事を任せ、成長を応援する企業風土が根付いている。また、技術者のキャリア形成支援や海外留学制度、障害者や外国籍社員の雇用、男性社員を含めた育児休暇取得の奨励など、多様な人材が働きやすい環境を整えている。世界を舞台にチャレンジし続けたい人に、ぜひ挑戦してほしい。

事業分野
民間セクター、都市開発、防災、ICT、資源・エネルギー、水と衛生、環境・気候変動、貧困削減、教育、ジェンダー、保健・医療、農業・農村開発

採用情報
募集職種:防災、水資源開発・保全・管理、上下水道、砂防、地質、廃棄物管理、衛生、気候変動、都市環境・環境管理(排水管理、公害対策)、都市インフラ開発、電力・電気、再生可能エネルギー、地理空間データ整備およびGIS、ジェンダー、難民支援、経済/財務、組織開発など

募集人数:随時

わが社の働き方改革

場所と時間に縛られない教育の機会を

 2030年ビジョンとして、持続可能な開発目標(SDGs)を先導するアジアNo.1の空間情報技術企業を目指す国際航業は、技術力を向上させるため、「人材の育成」にフォーカスした働き方改革に取り組んでいる。研修体系を再構築すると同時に、若手社員に向けた「技術承継講話会」や、空間情報技術の基礎知識を習得するための研修などを継続的に実施している。また、国内外で場所と時間に縛られない教育機会を提供するため、2022年度から順次オンデマンドで教材を提供できるようにして、各自の目標設定に反映できる運用を検討している。

 コロナ禍の対策として、全社員が日数の制限なくテレワークを実施し、ウェブ会議を活用できるよう環境を整え、国内出張や会議移動を制限している。また、2021年度中に予定している本社移転にあたっては、仕事内容によって働く場所を選ぶ「Activity Based Working」の考え方を反映したオフィスレイアウトを計画中だ。

社員さんに聞きました

公共コンサルタント事業部 海外コンサルティング部 防災グループ 長谷川 亮太さん

18歳 地球環境科学を学ぶ
鹿児島大学理学部地球環境科学科で自然科学分野について学びました。3年次のコース選択で地質学を専門とするコースを選択して専門知識を習得。九州や四国地方の地質の成り立ちや特徴を学ぶフィールドワークにも参加しました。

22歳 東京大学大学院へ
新領域創成科学研究科自然環境学専攻に進学。海底下のプレート境界断層活動時の諸現象を解析する研究を行いました。また、国際原子力機関のインターンに参加した経験は、自身の“海外への敷居” が下がるきっかけになりました。

24歳 国際航業入社
在学中に先進国と途上国の災害対策レベルの差を知り、日本の防災技術を途上国で活かす道を模索。防災分野の技術者として広く活躍するため、国際航業へ入社しました。入社後は、国内の土砂災害対策案件に従事し、経験を積みました。

26歳 ブータンで技術支援
初の海外案件として、ブータン国道路斜面対策工能力強化プロジェクトの業務調整を担当し、2019年から通算5回現地調査に参加。日本の道路斜面防災技術のセミナーを担当するなど、業務調整の傍ら技術・専門知識も習得中です。

28歳 防災の専門家を目指して
今後はホンジュラスやベトナムで斜面災害検知装置や警報システムの普及・実証・ビジネス化事業を手掛ける予定です。将来は、土砂災害を軸に専門の幅を広げ、チャンスがあれば地震・津波など他分野にも挑戦したいと思っています。

PROJECT FOCUS

ブータンで道路防災対策

植生工発芽試験の進捗協議の様子

 ブータンでは、道路が移動・輸送手段として重要な役割を担っていますが、多くの道路がヒマラヤの急傾斜地を通過しているため、雨期には道路斜面災害が多発し交通が遮断されてしまいます。ブータン国公共事業・定住省の道路局では、緑化と補強を組み合わせた斜面災害対策を実施していますが、技術・経験不足が課題です。

 この状況を受け始まった国際協力機構(JICA)の「道路斜面対策工能力強化プロジェクト」では、道路斜面の対策工、道路のり面勾配(こうばい)の基準の設定、雨量観測による事前通行規制、GISデータベースの作成に関する技術協力を行っています。私は業務調整を務め、プロジェクトの資金や進捗管理を担当する他、雨量計などの機材の設置業務にも携わりました。機材設置では、日本ならすぐに手に入る資機材を探すにも一苦労で、右往左往したこともありましたが、現地のドライバーに「日本の技術協力にはとても感謝している。安全な道路になるのが楽しみ」と言われた時にはとてもうれしく、この仕事のやりがいを感じました。

Infomation

設立:1947年
資本金:167億2,900万円
従業員数:1,942人(2021年3月)
本社:東京都新宿区
住所:〒169-0074 東京都新宿区北新宿2-21-1新宿フロントタワー
Tel:03-6362-5931
Mail:overseas2@kk-grp.jp
HP:https://www.kkc.co.jp

 

『国際協力キャリアガイド21-22』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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