NTCインターナショナル 株式会社|国際協力に携わる企業(21-22)

農業土木や農業経済の知見持つ人材に視線

 「技術と信頼を通じ、持続可能な開発に貢献する」をモットーに掲げるNTCインターナショナル。地域開発・コミュニティ開発、農村開発、農村開発・灌漑(かんがい)開発、平和構築・復興支援、行政組織強化、人材育成(研修)の6分野で、アフリカ地域をはじめ世界各地を対象にコンサルティング事業を展開する。

 2013年に開発業界初となる「平和構築部」を創設するなど新たな分野にも取り組んでいる。同社の核といえるのが、稲作支援をはじめとした農村開発や水資源・灌漑分野だ。れらの分野で途上国の人づくりに注力している。

 その同社が今、採用時の重点に掲げるのが、農業土木の知識や経験を有する人材だ。

 農村開発や水資源・灌漑の取り組みでは、水田や畑などの整備が重要となり、灌漑施設や水資源管理に関わる調査、設計、建設が重要業務となる。何らかの形で農業土木の知識が必要となるプロジェクトは、全体の約6割という。

 国際協力分野では採用時から高い語学力が必要と思われがちだが、「英語などの語学は入社してからでも、どうにでもなる。語学が得意でなくても、やる気のある人は採りたい」と取締役・企画営業本部長の宿谷数光さん。土木系であれば、学部卒でも採用したいという。

 また、農業(栽培)や農業経済の経験者も歓迎。青年海外協力隊の関連職種をはじめ、農業協同組合、種子会社、農機具の販売、国内の建設コンサルタントとしての経験も役に立つ。

 「日本の農業には、昔からの実践が脈々と受け継がれ、農業関連の公共事業は洗練されている」(宿谷さん)。海外業務ではそうした日本の経験を伝えることが期待されている。

事業分野/採用情報

事業分野:地域開発・コミュニティ開発、農村開発、水資源・灌漑開発、平和構築・復興支援、行政組織強化、人材育成(研修)

募集職種:最新の採用情報はホームページを確認してください。
募集人数:若干名

わが社の働き方改革

国内業務で技術養成、子育てにも配慮

 「技術の会社なので、技術を支えるためにも人材育成に力を入れている」と話すのは取締役の宿谷さん。新卒で入社した場合は、3~5年間、国内事業を手掛ける関連会社に出向し、基礎をつくった上で海外事業を担う。

 国内出向の前には、入社3~7年目の「シスター・ブラザー」から指導を受ける制度もある。この時期に海外事業の現場に派遣されることも多い。中途採用者も希望や適性に応じ、1年程度の国内出向で技術を学ぶこともある。その他、技術士資格取得に向けた支援体制を構築していく予定だという。

 子育て中は、時短勤務、在宅勤務も可。海外出張・勤務を控えるか、子どもを祖父母に預けるなどして積極的に海外に出るのか、本人の希望を優先する海外行きが難しい社員と問題ない社員がペアで働く工夫もする。

 みんなで会社をつくっていく雰囲気があり、いつでも話せるように、社長室のドアは常に開いているという。

社員さんに聞きました

技術本部 技術本部 主任技師 小山 知昭さん

20歳 水や土への関心から世界に
もともと水や土に興味がありました。水利用を考える時、農業以外の生活手段がある国とない国では、大きな違いがあります。茨城大学で学ぶうちに日本以外のフィールドを求めるようになり、それが今の仕事につながっています。

 

24歳 メコンで地球の水循環思う
茨城大学・大学院では、水環境工学を専攻。水質や水の循環、水の流れが農業に与える影響などを研究しました。大学院時代、調査で訪れたラオスで、メコン川を見ながら、この水がどのように雲になり日本に来るのかと考えました。

 

25歳 水や地域活かすインフラを
ラオスの調査地への道中、新設の道路により灌漑用水路が寸断されていました。今思えば、工事途中だったのかもしれないですが、その先の用地が死んでしまうと思い、水や現場を活かすインフラ整備の重要性を考えるようになりました。

 

28歳 入社後は一貫して灌漑分野
国内対象の建設コンサルティング企業を経て、当社に入社しました。以来、一貫して灌漑・排水設備の計画作り・設計に関わっています。シンクタンクへも出向し、海外の農村の水利用について深く知ることができました。

 

36歳 グリーンインフラに着目
パラグアイの案件で東京23区ほどもある受益面積を対象にしています。今後は農地や自然の力を活かしたグリーンインフラが重要になると思います。コンクリートなどグレーのインフラと組み合わせた計画を仕込んでいきたいです。

PROJECTFOCUS

パラグアイの南部にある荒れ地

東京23区の広さの灌漑設計

 現在、取り組んでいるのは、国際協力機構(JICA)がパラグアイで実施しているヤシレタダム湖隣接地域の総合開発調査です。ヤシレタダムは、アルゼンチンとの国境となっているパラナ川に両国が共同で建設したダムで、発電に利用されています。灌漑施設を整備し、ダムの水を利用して農業開発を進めようという計画で、対象面積は東京23区と同じ約6万haです。

 私は、灌漑施設の設計や施工計画、費用の積算などを担当しています。灌漑用水路の幅は、80mに及びます。この規模の設計に携わることができるのは、日本での業務を含めても貴重な経験になります。また、ダム湖に限らず、利用可能にもかかわらず使用されていない水資源の活用も検討しています。

 これまで担当した案件で簡単だと思ったプロジェクトはありません。開発途上国ではインフラ整備の予算は限られており、事業がうまくいかないと、数千人の生活が立ちゆかなくなることもあるため、常に責任感を持ちながら取り組んでいます。

企業情報

設立:2008年
資本金:6,000万円
従業員数:73人(2021年4月現在)
本社:東京都江東区
住所:〒136-0071 東京都江東区亀戸1-42-20 住友不動産亀戸ビル12階
Tel:03-6892-3401
Mail:ntci@ntc-i.co.jp
HP:https://www.ntc-i.co.jp/

『国際協力キャリアガイド21-22』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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