株式会社片平エンジニアリング・インターナショナル|国際協力に携わる企業(21-22)

運輸交通部門専門の海外コンサルとして

交通インフラの総合コンサルタントである片平新日本技研(旧片平エンジニアリング)の海外事業部が独立し、1987年に設立された片平エンジニアリング・インターナショナル(KEI)。「技術者によるプロフェッショナルなグループを形成し、発展途上国の社会・経済の発展・成長に寄与する」という創業理念の下、運輸交通部門の海外専業コンサルタントとして、世界の国づくり・まちづくりに貢献してきた。

 途上国政府や国際協力機構(JICA)、国際機関など世界65カ国以上で900を超える国際協力プロジェクトに参画。開発に関わるマスタープラン(基本方針)の作成から技術・機材の供与、技術移転に必要な人材育成、そして詳細設計や工事監理に至るまで多岐にわたる事業を手掛けている。最近では、急速な人口増加により交通渋滞や大気汚染が課題となっているバングラデシュの首都ダッカで同国初の都市交通料金システムを整備するプロジェクトに従事。日本の技術や各国での業務経験を活かして複数の公共交通機関を共通のICカードで利用できるよう整備し、併せて人材育成や普及活動にも尽力している。

 運輸交通部門だけでなく、環境や気候変動対策、資源・エネルギー、平和構築や貧困削減などの分野にも取り組んでおり、業務拡大に伴い、各分野で即戦力となる人材を求めている。社内では国籍や年齢、性別に関わらず多様な社員が活躍中で、風通しの良い組織風土も魅力だ。既卒者に求められる応募条件は、募集職種の経験5年以上。他方、新卒者は経験が浅くても研修やOJTを通じて成長できる環境がある。斬新な発想と積極性、そして協調性にあふれた意欲ある人材を求めている。

事業分野/採用情報

事業分野:インフラ、民間セクター、都市開発、防災、ICT、資源・エネルギー、環境、気候変動、貧困削減、平和構築

募集人数:若干名

わが社の働き方改革

新卒社員を育て上げる二つのプラン

 KEIは人材の採用にあたり、以前は主に即戦力として既卒の技術者を採用してきたが、2014年から少子高齢化の影響などを見据えて、新卒の採用も開始した。社会人1年目の新入社員が戦力として成長するには長期の人材育成計画が必要と捉え、同社では社会人5~6年目の若手職員を新入社員の指導係として指名する「チューター制度」を導入している。また、新入社員には外部講習への参加を積極的に促し、社会人としての自立心の向上を期待しているという。

 道路・橋梁などのインフラ整備に関する業務を数多く実施する同社では、技術職員として採用した新卒者の技術の基礎力を高めるため、連携する国内の建設コンサルティング企業へ出向するプランも用意している。同社は人材育成を重要な課題と位置付けており、いずれも新卒採用者を育てていく長期人材育成計画の一環だ。もちろん中途採用への応募も大歓迎とのこと。

社員さんに聞きました

開発業務本部 課長代理 ミハレス アンドラ カリス セホブさん

21歳 交通エンジニアに
フィリピン大学工学部土木工学科を卒業後、フィリピンのエンジニアリング企業に就職。事業開発部に配属され、約3年間、交通エンジニアとして都市部の交通渋滞対策や公共交通分野のマスタープラン作りなどに携わりました。

24歳 東京工業大学大学院へ
日本に留学経験のある教授の影響で「日本で学びたい」と来日。理工学研究科で世界の公共交通について学び、JR主催の留学生向けセミナーにも参加。論文テーマは「カイゼン」とメトロマニラ。修士号と博士号を取得しました。

28歳 KEI入社
JICAやアジア開発銀行への就職も考えましたが、日本のコンサルで現場経験を積む道へ。母国フィリピンで有名なKATAHIRAは、思っていたより“アットホーム” で、日本では珍しい英語OKの面接も決め手になりました。

31歳 日本語検定N2を取得
日本語能力検定試験5段階のうち、2番目に難しいN2を取得。日常業務は英語ですが、日本語を使う機会も多く、引き続き勉強中。社内には多国籍の社員が在籍し、アットホームな雰囲気で、ランチのおしゃべりも楽しみの一つです。

34歳 ザンビアの調査事業に従事
2020年からザンビアの橋梁建設計画準備調査に従事。コロナ禍で在宅勤務が続く中、対面のコミュニケーションの大切さを実感しています。将来は母国フィリピンの案件や、得意なデータ分析関連のプロジェクトにも携わりたいです。

PROJECT FOCUS

カウンターパートであるラオスのバス公社の職員と

バス公社の利用者増に貢献

 これまで携わった仕事の中で特に印象深いのは、ラオスでのバス事業です。成長する首都ビエンチャンでは、乗用車やオートバイが急増しバス離れが進み、赤字続きのバス公社の立て直しが求められていました。調査では、まず停留所ごとの乗降者数や運行状況などのデータを収集・分析して課題の見える化を実現。既存のバス公社の下に新組織を設立し、人材育成や労働環境の改善に力を入れました。日本の知見を活かしたバスシステムの普及を目指し、2017年から新規で市内2路線を運行し、2018年からは空港路線がスタートしました。

 当初は、タクシードライバーや住民から反対意見がありましたが、何度も話し合いを重ね信頼を得ました。乗客の満足度調査も実施し、車掌に若手女性も採用してユニフォームを統一するなど公社のイメージアップと利用者の増加につなげました。

 仕事は厳しい部分もありますが、学ぶ意欲があれば成長できる環境です。これからも日本の国際協力事業に携わり、高度なチャレンジを続けていきたいです。

企業情報
立設:1987年
資本金:5,000万円
従業員数:120人
本社:東京都中央区
海外拠点:マニラ、ベトナム、スリランカ、カンボジア、ケニア
住所:〒104-0041 東京都中央区新富1-14-1 いちご八丁掘ビル3階
Tel:03-6280-3500
Mail:kei-tokyo@katahira.com
HP:https://www.katahira.com/

『国際協力キャリアガイド21-22』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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