株式会社 地球システム科学|国際協力に携わる企業(21-22)

地球科学の知見をベースに住みよい地球を

地圏、水圏、気圏の3圏からなる地球。そこで生じる自然現象は、それぞれ独立したシステムではなく、すべてが複雑に絡んだ一つの大きな「地球システム」としての活動から生じたものだ。地球システム科学は「地球科学の」知見をもとに水資源開発、防災、環境保全関連分野で活動する開発コンサルティング企業。海外では国際協力機構(JICA)による政府開発援助(ODA)の他、国際機関や途上国政府をクライアントとした事業を、アジア、アフリカ、中南米の20カ国以上で展開している。

 柱の一つである水資源開発分野では、給水/衛生、水資源開発・管理、流域環境管理をコア事業とし、もう一つの柱の防災分野では、防災情報整備、防災教育、リスク評価、防災ガバナンス強化などを手掛ける。

 なお、同社は2020年4月、国内で道路、都市・交通計画分野に強みを持つ株式会社福山コンサルタントを中核子会社とする株式会社FCホールディングスと資本業務提携し、グループとして業容拡大を図っている。

 プロジェクトの組織・制度強化、人材育成などに携わる人文系の社員も在籍しているが、中心となるのはやはり地球科学や土木工学を学んだ技術系の社員だ。

 豊富な経験に基づく判断力が重視される業種であるため、職務経験のある人の応募を歓迎している。また、主な業務の現場が開発途上国となるため、こうした国々に対する支援や、そこに住む人々や文化に対する理解と関心が深い人にふさわしい職場だという。

 同社の基本理念は「誠意と挑戦」。仕事への誠意を持ち、未来の世代に住みよい環境を提供するために挑戦してみようという人が待たれている。

事業分野/採用情報

事業分野:水資源、給水/衛生、防災(地すべり、土砂災害、洪水など)、気候変動対策

募集職種:河川、上水道、水資源開発、防災他
募集人数:若干名

わが社の働き方改革

社内プレゼンでピンチをチャンスに

 産休・育休は早くから社内で規定を設けており、これまで女性一人と男性二人が育休を取得している。介護や育児で時短勤務制度を利用している社員もいる。フレックスタイムについては、現在導入を検討中だ。

 新入社員には外部のセミナーでビジネスマナーを身に付けてもらう他、JICAや海外コンサルタンツ協会(ECFA)などが主催するODA関係のセミナーに積極的に参加するよう促している。入社後半年から1年程度は先輩社員が側に付いて指導、その後はOJTで育てていく。

 同社では折に触れて、社員が自分の手掛けるプロジェクトを他の社員に紹介する「社内プレゼンテーション」の場を設けていたが、昨年春の緊急事態宣言下、全社員が国内で在宅勤務になった機会を活用して、若手社員による社内プレゼンを週1回のペースでリモート開催していった。視聴する社員から提案が相次ぎ、結果としてJICAへの提案書提出にも結び付いたという。

社員さんに聞きました

水資源事業部 技師 門上 綾さん

26歳 青年海外協力隊に興味
山口大学での専攻は生物系で、生態調査や環境保全の仕事を希望して就職しましたが、水質化学分析部門に配属。海外旅行が好きだったこともあり、青年海外協力隊出身の同僚の話を聞くうちに協力隊に興味を持つようになりました。

28歳 国際協力への意志が固まる
退職して協力隊へ。ケニアの村落部で浄水場の水処理の指導をしました。村落の水・衛生環境は厳しく「水の仕事をしている」と言うと住民から感謝されることも多く、国際協力の仕事を本格的にやっていきたいと考え始めました。

32歳 留学で「水・衛生」を学ぶ
村落給水に興味があったのですが、技術的には足りない部分があると感じ、当時実施されていたJICAの海外長期研修制度を利用して、英国のラフバラ大学大学院で統合的水資源管理などを含め、水・衛生全般について学びました。

33歳 早く現場に出たかった
大学院を修了する頃に就職先として、コンサルティング企業だけでなく国際機関なども含め幅広く考えましたが、一番現場に近く、早く現場に出られそうな当社を選びました。以来、アフリカやアジアの水・衛生分野に携わっています。

43歳 給水と衛生、両分野の夢
バングラデシュで実施中の給水に関する取り組みを国のシステムに上げるまで見届けたいです。今後は現在従事しているJICA研究業務での衛生分野の提案が活動として組み込まれたら、それを一から手掛けてみたいですね。

PROJECT FOCUS

バングラデシュDPHE能力強化事業の研修

コロナで注目「手洗い」研究

 2015年からバングラデシュで水・衛生を担う公衆衛生工学局(DPHE)の能力向上プロジェクトに携わっています。施設建設後に必要になる維持管理、実施に関する技術移転を行っているのですが、それ以外にも安全な水を利用するための啓発活動が必要で、その活動を担う職員の意識改革にも取り組んでいます。最初は興味を示さなかった彼らですが、徐々にやる気が出てきて今、大きな手応えを感じています。

 並行して担当しているのが、新型コロナウイルス感染症対策として注目されている手洗いに関する研究です。どうすれば手洗い行動を習慣化できるかという内容なのですが、開発コンサルタントとしては、水・衛生だけでなく、教育、保健、栄養改善、ジェンダーなど分野横断的な知識に加え、現地で活動するにはその地域の社会・文化規範なども把握し、都度反映するという視座が求められると痛感しています。そこで、仕事をしながら大阪大学大学院(博士後期)で学び直しています。

企業情報

設立:1991年
資本金:4,000万円
従業員数:44人(2021年4月現在)
本社:東京都新宿区
海外拠点:ボリビア、スーダン
住所:〒160-0002 東京都新宿区新宿1-23-1 新宿マルネビル7階
Tel:03-3357-1761
Mail:info@ess-jpn.co.jp
HP:https://ess-jpn.co.jp/

『国際協力キャリアガイド21-22』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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