アジア航測株式会社|国際協力に携わる企業(21-22)

未来をつくる空間情報コンサルタント

 アジア航測は自社で保有する航空機と最新鋭のセンサーによる空間情報の収集・解析から、活用方法の提案、実施プラン策定まで、一貫した技術サービスを提供する空間情報コンサルタントだ。

 最先端の測量技術で得た空間情報をもとに作成された地形図は防災や環境保全、社会基盤整備など幅広い分野に役立てられる。そのため同社は国内のみならず、これらのニーズが高い新興国や開発途上国を対象とした政府開発援助(ODA)プロジェクトを継続的に受注してきた。今や空間情報は世界的な課題解決のための重要なインフラとなっており、同社への期待はますます高まっている。

 アジア航測の経営理念の一つに「事業は社会のために存続する」というものがある。代表取締役社長の小川紀一朗さんも「技術革新を通じて人々の暮らしを支える」ことを強調する。

 同社はワークライフバランスの推進に取り組んでおり、厚生労働大臣が認定する「くるみんマーク」(子育てをサポートする企業が認定される)や「えるぼし」(女性の活躍推進に取り組む企業が認定される)を取得している。同社が求める人材像は「既成概念の枠にはまらず、素直にものを見ることができる人」「多様性を受け入れ、一緒に目標に向かって取り組める人」「好奇心旺盛で、チャレンジ精神と自らの信念を持って行動することができる人。特にグローバルに情報のアンテナを張っている人や、新たなビジネス領域を創造したい人」だという。

 選考は面接試験が中心。専門性と人間性の二つの側面を吟味し、採用の可否を判断する。グローバルに活躍できる人材を求めているため、外国籍の社員も多い。

事業分野/採用情報

事業分野:民間セクター、都市開発、防災、ICT、インフラ、資源・エネルギー、水と衛生、環境・気候変動、貧困削減、平和構築、農業・農村開発

募集職種:営業部門、技術部門、管理部門
募集人数;30人程度(総合職)

わが社の働き方改革

改革の成果の上にユニークな取り組みも

 アジア航測では 2014年から働き方改革を実践しているが、現在社内にワークライフバランスへの取り組みが定着してきた感があるという。改革の一環で行ってきた在宅勤務、ウェブ会議などの利用をコロナ禍で拡大したことで「新しい生活様式」における勤務形態も浸透しつつある。また2017年からは、全国の支社ごとに「働き方改革チーム」を組織し、帰宅予定時間を宣言する「かえるカード」掲示や、趣味や得意分野を見える化した「自己紹介シート」を活用するなど、ユニークな改革にも取り組んでいる。

 同社には、測量、建設コンサルタント、システム開発など多岐にわたる技術を支える個性あふれる従業員が多く在籍している。職種、地域、性別、年齢などの多様性を受け入れながら、自由にのびのびと働けることがアジア航測らしさだと考えており、今後も働き方改革に挑戦し続け、魅力ある企業をつくっていきたいという。

社員さんに聞きました

道路・交通部 章 乃佳さん

25歳 来日
大学卒業までは中国に。大学での専攻は環境工学でした。当時、先進国に行きたいと思っていて、日本に行くことにしましたが、日本語は話せませんでした。来日し、日本語ばかりの環境にいて、なんとかできるようになりました。

26歳 リモートセンシングを学ぶ
千葉大学大学院に入学し、リモートセンシング研究室に所属しました。大学時代の学びとは異なる分野でしたが、衛星画像の処理がかっこいいなと思ったんです。また同研究室には留学生が多く、それも志望した動機の一つです。

28歳 土地被覆分類を研究
大学院に入るまでリモートセンシングのことはあまり知りませんでしたが、衛星データの処理や解析をやってみたら面白いなと思いました。研究内容は、リモートセンシングの技術を用いた土地被覆分類(陸上部の植生分類など)です。

33歳 測量系の会社に絞って就活
大学院は博士課程まで進み、博士号を取得しました。日本社会をもっと深く知りたいという気持ちと、大学院でのリモートセンシングの学びを活かしたいとの思いで、測量系の会社に絞って就活し、当社に就職しました。

39歳 もっと技術を磨きたい
今は「レーザ測量」といって、3次元点群データ処理に関わる業務を担当しています。計測の技術や処理方法は日々進歩しているので、常に勉強しなければなりません。技術を磨いて、マルチセンサーのスペシャリストになりたいです。

PROJECT FOCUS

業務で使用したドローン

防災のためのレーザ計測

 私が携わった海外の仕事には、台湾行政院農業委員会(日本の農水省に相当)水土保持局から受注したレーザ計測の案件があります。これは大規模な崩壊の危険性がある地域にUAV(無人飛行機:ドローン)を飛ばしてレーザ計測を実施し、ピンポイントで危険箇所を突き止め、防災計画に役立てようというものです。

 家や木が密集しているところは、上空から写真を撮っただけでは地表面がどうなっているのかわかりませんが、レーザは隙間を通過するのでよくわかります。レーザ計測の結果、崩壊の恐れのある場所が見つかったら、地すべり防止の工事をしたりするわけです。

 現地では当社と台湾企業が連携し、UAVレーザ計測とそのデータを用いた地形判読などを実施しました。具体的には、日本から持ち込んだUAVレーザ計測機材を飛ばして地表を計測し、計測データを処理して立体地図を作成しました。詳しいデータが得られるUAVレーザ計測の技術は、今、防災面でとても期待されています。

企業情報

設立:1954年
資本金:16億7,377万8,000円
従業員数:1,483人(2020年9月30日現在)
本社:神奈川県川崎市
住所:215-0004 神奈川県川崎市麻生区万福寺1-2-2 新百合トウェンティワン3階
Tel:044-969-7230
Mail:tk.jinji@ajiko.co.jp
HP:https://www.ajiko.co.jp/

『国際協力キャリアガイド21-22』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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