写真:2018年2月現在の避難所周辺(2015年度植栽)
<無償資金協力>
生態系を活用した防災「グリーン・インフラ」
ミャンマー
沿岸部防災機能強化のためのマングローブ植林計画
コンサルティング:国際航業(株)
施設建設:(株)安藤・間
ミャンマーは、東南アジアの中でも森林の減少率が高い。原因は、薪炭材の収穫や水田・養殖場などの開発に伴う無秩序な伐採だ。特にエーヤーワディ・デルタのマングローブ林では、2007年までの6年間だけで約4万7,000ヘクタール(奄美大島と同程度)が消滅した。 さらに、08年には14万人もの死者・行方不明者を出したサイクロンが発生し、同デルタのマングローブ林に壊滅的な打撃を与えた。一方、この災害の後に、マングローブ林がある場所では、他に比べて高潮による被害が少なかったことも確認された。ミャンマー政府はマングローブ林の復旧を目指したが、被害が甚大なため単独で実施するのは資金的に難しく、日本に協力を要請した。
これを受け、本計画では1,154ヘクタールという広大な土地(千代田区に相当)に240万本強の植栽が実施された。これまでに類を見ない大規模な植林事業であることから、効率よく実施するために日本の総合建設業の施工管理能力が必要とされ、東日本大震災の復興事業で防災緑地を整備した実績がある(株)安藤・間が受注した。植林事業は、さまざまな改良を加えながら13~17年にわたって実施され、プロジェクトの初期に植えられたマングローブは既に数メートルの高さに成長している。
今回のプロジェクトによって、約21万人が住む同デルタ地域ではサイクロンによる被害がより効果的に緩和されることとなる。さらに、これまでに類を見ない規模で行われたこのマングローブ植林は、生態系を活用して防災・減災を行う「グリーン・インフラ」の先駆的事業であり、今後、東南アジアを中心に類似の取組みがなされていくものと期待される。
『国際開発ジャーナル』2019年1月号掲載
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