写真:新設のジャクメル病院の全体外観。右奥はカナダ赤十字棟
<無償資金協力>
震災で壊れた病棟を免震構造で再建
ハイチ
南東県ジャクメル病院整備計画
コンサルティング:(株)山下設計
八千代エンジニヤリング(株)
ビンコーインターナショナル(株)
施設建設:徳倉建設(株)
機材調達:(株)シリウス
中米ハイチの南東県にあるジャクメル病院は、出産や手術、救急医療に対応した同県唯一の総合病院で、近隣県を含めて380万人以上が利用する。しかし、2008年のハリケーンに加えて10年の大震災で建物が損壊したため、テントや仮設の建物で診療を続けざるをえなかった。手術などに必要な医療機材も不足し、そのままでは総合病院としての機能を十分に果たせない状況であった。
貧困削減に向けて、「国内各県の総合病院を整備し、国民に質の高い医療を提供する」との目標を掲げるハイチ政府は、日本政府にジャクメル総合病院の整備に関する支援を要請。11 ~ 12年に現地調査が行われ、カナダ赤十字と連携して同病院を再建することになった。日本側は救急部、手術部、産婦人科病棟などを含むメインの建物の整備と、付随して配備すべき医療機材の調達を主に担当した。
新たなジャクメル病院は、鉄筋コンクリート製の2階建てとなり、1階は救急部、手術室2部屋、X線撮影装置や超音波診断装置を備えた画像診断部などが入った。2階には分娩室、新生児室、乳児用ベッド20床、小児科診察室などを設けられた。床面積の合計は、テニスコート約2面分に相当する4,200㎡で、日本の技術による免震構造が取り入れられており、大きな地震の直後でも、救急部や手術部が機能することを想定している。16年9月、ハイチの保健・人口大臣、八田善明大使、カナダ赤十字代表らが参列して、病院の引き渡し式が行われた。機材が充実し、劣悪な診療環境が改善することへの期待は大きい。手術件数や分娩数も増え、地域住民の健康な生活に貢献していく。
『国際開発ジャーナル』2019年5月号掲載
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