PROJECT FOCUS
ベトナム

<無償資金協力>
 
  

最先端技術で清浄な水路を取り戻す

  
 

 

ベトナム
ホイアン市日本橋地域水質改善計画

コンサルティング:(株)日水コン       
施設建設:メタウォーター(株)、月島機械(株)

 

 ベトナム中部・ホイアン市の旧市街を流れる水路に「来遠橋」という屋根つきの橋が架かっているが、この橋は日本人が建てたと伝えられているため、「日本橋」とも呼ばれている。ホイアン市は、かつて日本や中国などとの交易で栄え、日本人街もあった。旧市街は世界遺産でもあることから、年間140 万人もの観光客が訪れる。一方、ベトナムでは下水道の普及率が低く、日本橋周辺の水路にも未処理の汚水が流れ込んで悪臭が発生し、生活環境も悪くなっていた。同国政府は、ホイアン市を含む主要都市において、2020年までに下水道システムの普及率を従来の50 ~ 60%から、80 ~ 90%に向上させるとの目標を掲げており、同市もフランス開発庁の支援の下で下水道整備を進めているが、水路の上流は対象外だった。
 15年7月に本計画に関する無償資金協力の書簡が日越両政府間で交換され、日本側がホイアン市の日本橋周辺の水路を改修するとともに、上流に下水処理場を建設することとなった。この下水処理場は1日に2,000㎥の下水処理が可能で、日本の水処理大手企業メタウォーターが新興国向けに開発した最先端技術「前ろ過散水ろ床法(PTF法)」を採用している。PTF法は従来の方式に比べ、設置面積が小さくてすみ、また使用電力が少なく、維持管理が容易なのが特徴で、日本下水道事業団から「海外向け技術確認」の認証を受けている。
 本計画は18年11月に竣工を迎えた。これによって、日本橋周辺を含めたホイアン市の水質が浄化され、周辺住民の生活環境が著しく改善される。また、同市の観光価値も上がり観光客も増えていくものとと期待されている。

『国際開発ジャーナル』2019年6月号掲載

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