PROJECT FOCUS
ブータン

<無償資金協力>
 
  

高地で技術難度の高い橋梁を新設

  
 

 

ブータン
国道1号線橋梁架け替え計画

コンサルティング:(株)オリエンタルコンサルタンツグローバル
(株)アンジェロセック          
施設建設:大日本土木(株)                    

 

 ブータンは国土の大部分が山岳地帯のため、道路が最も重要な交通インフラとなっている。国内には5本の国道が通っているが、首都ティンプーを起点とする国道1号線は国内を東西に横断する唯一の幹線道路で、交通量も多い。 その一方、1号線に架かる橋梁の中には道路幅、車両の重量制限(耐荷重)が現行の設計基準を満たしていない上、1980年代以前に建造されて老朽化が進んでいる既設橋が10本もある。特にチュゾムサ橋、ニカチュ橋、ザラムチュ橋の3本の橋長は25~ 28mあり、標高は最も低いチュゾムサ橋で約1,400m、最も高いニカチュ橋は2,600m にもなる。近くには家屋も多く、補強や架け替えの技術的難度は高い。
 ブータン政府の要請を受け、この3橋梁の架け替えを行う無償資金協力を実施したのが本計画である。実際のプロジェクトでは、3本の橋梁とその取り付け道路を新たに建設し、完成後に古い橋梁をブータン側が撤去した。新たな橋は、ブータンへの技術移転がしやすいプレストレスト・コンクリート橋梁が採用された。橋長は45 ~ 47.5mとなり、道路幅や耐荷重は現行の設計基準に合わせた。耐荷重は100トンにまで増やしている。集落が近いチュゾムサ橋とニカチュ橋には、幅1.5mの歩道を設置し、護岸工事も併せて行われた。
 18 年6月、山田JICA ブータン事務所長やドルジ・チョデン公共事業・定住省大臣らが出席してザラムチュ橋の竣工式が行われた。本計画の完了により、ブータンの大動脈とも言える1号線の安全性と利便性が大幅に向上した。今後は、同国の経済発展を支える水力発電所建設の資機材輸送が円滑になるものと期待されている。

『国際開発ジャーナル』2019年6月号掲載

コメント

タイトルとURLをコピーしました