PROJECT FOCUS
インドネシア

<有償資金協力>
 
  

活火山のもたらす火砕流と土石流を防ぐ

  
 

 

インドネシア
プロゴ川流域メラピ火山緊急防災事業(Phase Ⅱ)

コンサルティング:八千代エンジニヤリング(株)

 

 メラピ火山は、インドネシア国ジャワ島のジョグジャカルタ特別州と中部ジャワ州の境界に位置する活火山である。山麓にはジョグジャカルタ市街地の他、世界遺産のボロブドゥール遺跡やプランバナン遺跡が存在する。これまでこのメラピ火山では、おおむね10年に一度大規模噴火が発生し、山麓地域に土砂災害をもたらしてきた。そのため、1969年の噴火を契機として火山防災事業が開始され、同国の国家予算や3期にわたる日本からの円借款によって、約250 基の砂防設備が建設されてきた。
 しかし、2010年にメラピ火山は過去最大規模の大噴火を起こし、なかでも同年11 月5 日の噴火で発生した火砕流は、南東斜面のゲンドール川に沿って山頂から約15 kmの地点まで流下し、河道を埋め尽くすとともに、多くの犠牲者をもたらした。また、南西斜面に位置するプティ川では、上流の山麓斜面に堆積した大量の火山灰が豪雨のたびに土石流となって氾濫し、頻繁に国道を寸断するようになった。
 こうした状況に対処するため、2015年11月から本円借款事業が開始され、①火砕流によって河道が埋没し、土石流災害リスクが高まったゲンドール川の中流域における、土石流を導流・貯留するためのサンドポケット(容量:約60万m3)の建設、②プティ川と国道とが交差する箇所で土石流が氾濫しないようにするための放水路(延長2.7 km)の建設、③2010年の噴火による地形変化を反映させた既存の砂防施設配置計画の見直し、の3点が実施された。それに加えて、2019 年7月現在、将来の噴火への備えをさらに加速させるため、砂防設備4基の新設と既存設備6基の改修を行う追加工事を実施している。

『国際開発ジャーナル』2019年8月号掲載

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