<無償資金協力>
災害に強い社会の構築に向けて
―Buid Back Better(BBB)のコンセプトを旗印に
ネパール地震復旧・復興プロジェクト
サブプロジェクト① パロパカール産婦人科病院およびビル病院再建計画
コンサルティング:㈱オリエンタルコンサルタンツグローバル
㈱伊藤喜三郎建築研究所
㈱国際テクノ・センター
施設建設:㈱安藤・間
2015年4月25日、ネパールでマグニチュード7.8の大地震が発生した。震源地は首都カトマンズの北西にあるゴルカ郡。その後も大きな余震が続き、死者約8,700人、負傷者約2万2,300人、全壊家屋約51万個という甚大な被害が生じた。首都カトマンズにおいても多くの施設が被災した。
国際協力機構(JICA)は地震の発生直後から人命救助や人道支援に乗り出すとともに、ファスト・トラックの開発調査型技術協力を始動させ、復旧・復興のさまざまなニーズを調査した。そして、技術協力、無償資金協力、有償資金協力によるシームレスな支援を継続した。本稿では無償資金協力で実施された3つのサブプロジェクトを紹介する。この地震の発生に先立つ同年3月の第3回国連防災世界会議(仙台市)では、災害発生前よりも災害に強い国土と社会をつくる「B u i l d B a c k B e t t e r(B B B)」という考え方が強調されていた。ネパールにおける復旧・復興支援においてもこのBBBというコンセプトが旗印となった。
パロパカール産婦人科病院は1959年の設立で、同国唯一の公立産婦人科病院。毎年約2万件の出産があり、被災後も、1日約50件の分娩が行われていた。同病院は帝王切開が分娩件数全体の25%以上と非常に多いため、再建に当たっては、高回転の分娩に効率的に対応できる動線計画とし、新生児集中治療などの高度医療にも対応できる設計とした。
国立ビル病院は1889年設立の同国最古・最大の国立総合病院で、全国のトップレファレル医療機関であるが、地震によってICU病棟が全壊していた。再建後の建物は、腎臓科と人工透析室、消化器科と内視鏡室、循環器科とCCU・血管造影室など、関連する施設が同じフロアでセットになった臓器別専門治療病棟とした。なお、両病院には耐震壁や太陽光発電、太陽熱温水装置が設置され、耐震&省エネ設計のモデルとして期待されている。
サブプロジェクト② バラキロ-バルパック道路橋梁建設計画
コンサルティング:㈱オリエンタルコンサルタンツグローバル
施設建設:㈱安藤・間
本震の震央のあったゴルカ郡。その北部の主要都市であるバルパックは、同郡北部の震災復興の拠点である。本計画では、郡都ゴルカ市とバルパックを結ぶ道路上の3橋梁を建設した。ネパールにおいては、いまだRC構造による橋梁が大半を占めているが、BBBコンセプトにより、本計画においては、PC構造を適用し、より耐久性に優れた橋梁を建設した。
サブプロジェクト③ チョータラ市導水システム改善計画
コンサルティング:㈱建設技研インターナショナル
施設建設:㈱安藤・間
最大余震の震央はシンドパルチョーク郡であった。郡都のチョータラ市は、最も甚大な被害を受けた都市の一つ。同市北部の水源と浄水場を結ぶ導水管路も大きな被害を受けた。恒久的な施設を確保するため、BBB コンセプトに基づき、耐震性に優れ長寿命な日本製のダクタイル鉄管を用いた復旧工事を実施し、同市の安定的な飲料水の供給を可能にした。
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