農村のコミュニティー開発から支える平和構築

写真:各村の村長との会議の様子


NTCインターナショナル(株)は、2008年にコンゴ民主共和国での農村開発プロジェクトを皮切りに、紛争の影響を受けた国のコミュニティー開発に携わってきた。13年には平和構築部を設立し、現地の人たちが自立できるよう、地域開発・農村(コミュニティー)開発を軸にした平和構築に取り組んでいる。

住民ニーズ捉えた計画策定

同社は平和構築分野のビジョンとして、紛争や感染症などの大規模な影響を受けた地域における地域開発・コミュニティー開発の実施と、その事業による平和な地域発展の実現を掲げている。これまでコンゴ民主共和国、ウガンダ北部、シエラレオネ、ブルンジ、アフガニスタン、フィリピン・ミンダナオなどで紛争終結後の農村地域支援型包括コミュニティー開発プロジェクトを実施してきた。

紛争影響地域の地域開発・コミュニティー開発には、ドナーによる復興支援が終了した後もそのコミュニティーが自立できるよう、住民のニーズを捉えながら復興・開発計画を策定するのが重要になってくる。その上で、生計向上などの収入向上支援のほか、道路や学校といったインフラ整備、それらの活動を管理する行政官の能力向上も必要だ。

同社は紛争影響国のアフリカを中心とした農村地域におけるマルチセクターでの地域開発の実績、各国の農業・農村開発から地域開発・コミュニティー開発を中心とした開発支援の実績がある。常にコミュニティーの近くでニーズを拾い、それらを開発計画に反映できるよう現地の行政官の育成も支援している。

コンゴ民から始まった一歩

2008年7月から10年11月まで実施したコンゴ民での「バコンゴ州カタラクト県コミュニティー開発計画策定調査」では、平和がもたらす利益をすべての住民に公平に分配するため、紛争前にコミュニティーが持っていた体制・機能を再構築し、新たな対立を生まない総合的な開発計画の策定を支援した。

まずベースライン調査で地域のニーズをとらえ、対象となる21村の村長を集めて村落開発委員会を設立。インフラ整備と生計向上の手段について同委員会と協議し、パイロットプロジェクトを実施した。インフラ整備では学校や保健施設などの改修、生計向上では牛 耕や多品目農作物の導入、さらに環境美化、植林、ごみの再利用のための研修など、その内容は多岐にわたる。特に道路改修では、現地の砂利による舗装道路のため維持管理は必須であることから、維持管理研修を実施したほか、通行料を徴収し維持管理費に当てる仕組みを同委員会と共に作り、地域の開発計画としてまとめた。これにより、村落間の物理的、精神的な距離を縮めることができた。

災害復興に日本の知見を

同社の平和構築部は、社内で情報のハブになり、さまざまな部署を巻き込みつつ、紛争影響地域でのプロジェクト実施上の配慮事項やその手法などを発信しながら事業を実施している。今後目指していく方向性として、現地の人々のニーズを捉えながら紛争影響地域での復興開発支援を続けていくことは変わらないが、そこに災害復興などの日本の知見をより生かしていくことを考えている。革新的な新規技術を導入し、農村地域・コミュニティーにおける復興開発支援事業の迅速化を目指していく。

『国際開発ジャーナル』2018年11月号 分野別特集「平和構築」掲載
#NTCインターナショナル #平和構築 #農業・農村開発 #アフリカ #コンゴ民主

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