2013年国際協力キャリアガイド「青山学院大学大学院~国際政治経済学研究科~」

 

先生に聞きました!

国際政治経済学研究科 菊池 努 教授 
 昼夜開講制を採用し、学部卒業生はもちろん国内外の舞台で活躍する社会人にも門戸を開く青山学院大学大学院。社会人入試では、筆記試験だけでなく総合的な審査を行うほか、20年以上の実務経験者は研究計画書と面接のみで入学できるなど、広く学びの場を提供している。国際政治経済学研究科では、「政治」「経済」「コミュニケーション」の視点から国際社会を多角的に研究し、世界の発展に貢献できる人材の育成を目指す。
 「国際協力は、人間社会のすべての分野が対象。政治、経済、金融、統計、場合によっては栄養管理や医療、農業も含まれています。それらの問題に取り組むために必要なのは、論文や資料を読み、考え、自分の言葉で表現をし、相手を説得できる知的な基礎体力。それらを習得するためにも、学問の基本に立ち戻る重要性を感じています」と語るのは、東アジア共同体研究の第一人者である菊池努教授。アジア太平洋における国際政治経済の問題、なかでも東アジアの地域協力や中国、朝鮮半島、南太平洋などをテーマにしている。小手先のテクニックではなく、人間が物事に取り組むための核心的な部分を鍛えるべく、「現代アジア太平洋論」や「地域研究論」では、学術論文をテキストに、コンセプトを学び、理論の展開を追い、説得力のある批判精神を養うトレーニングを行っている。「院生には『授業料分、勉強して帰れ』と言っています。分かりやすい授業と、きちんとした授業は時に矛盾します。大学院の使命は、院生が本当にやりたいことに出会った時に、きちんとその問題に取り組める学問的な実力を備えさせること。物事を論理的に理解し、批判的な精神を育てる基礎的な素養を身につけることが一番重要だと感じています」
 同研究科では、現場の最前線で活躍する実務者を招いた講義や、2010年に開講された「グローバル・エキスパート・プログラム(GLEP)」など、理論と実践をバランス良く研究するプログラムを展開。GLEPでは、欧米やアジア地域の大学院、NGOと連携し、徹底した現場主義のインターンシップに参加できることが特長。1年次に国際政治経済学研究をし、2年次には「平和と紛争」「貧困と開発」「寛容の文化の醸成」といったテーマをアジアの提携大学院でより専門的に研究することができる。カリキュラムの柱は、理論的な基礎を学ぶ「理論科目群」、国際機関等の現役職員と実践的感覚を磨く「実務家担当科目群」、開発途上国の現場で研修やインターンシップを行う「研修科目群」の3つ。プログラムを希望する院生は、研究科の3専攻のいずれかに在籍しながら、関心や目的に合わせた横断的な履修が可能だ。「GLEPでの現場経験をより意味あるものにするためにも、社会現象を理解するための学問的な素養は必須。そうすることで、きちんと問題を捉えることができ、帰国後の深い分析につながるはずです。好奇心が知的関心を刺激し、それを機に開発経済学や文化人類学、都市計画など、興味のある分野を学んでもいい。ひとつひとつステップを踏みながら知的能力を高めていける、そんな〝考える力〞を持った院生を育てたいと考えています」また、GLEPでは外交官や国際公務員、国際NGOなど国際的に活躍する人材育成のため、ネイティブによる英語文章作成能力講座も開設。より実践的な語学能力向上をはかっている。実務経験の少ない院生には、修了後に実践の場を提供するなど、将来へのサポートも充実させている。経済のグローバル化が進んでも、「国際
社会に羽ばたく上で必要な素養、能力に大きな変化はない」と菊池教授は指摘する。理論、実務それぞれの講義を通じて、ひとつの現象を多角的に分析する力を養えるカリキュラムはもちろん、国際政治の分野において、講師陣の質の高さでは一、二を争う環境も、院生にとっては大きな魅力となっている。
 

学生さんに聞きました!

国際政治経済学研究科 国際政治学専攻 修士課程1年 森口 隼さん

大学でウルドゥー語、インド・パキスタンの地域研究を学んだ後、キヤノン株式会社に入社。2008年まで広報部門で国連機関とタイアップした広告制作などに携わりました。09年からはカメラ全般を扱う部署に所属しています。仕事で充実した日々を過ごす一方で、パキスタンの洪水やアフガニスタンの平和構築の行き詰まりに触れ、改めて世界情勢の理解を深めるべきだと考えるようになりました。そんな時、GLEPコースの存在を知り、社会人として働きながら地球規模の課題を学ぶことができると考え、入学しました。講師陣には理論はもちろん、実務面での専門家も多く、恵まれた環境だと感じています。共に学ぶ院生も優秀で志が高く、いい刺激を受けています。これからアフガニスタン・パキスタンの政治的な課題について研究する予定です。ここでの学びを通して、国際政治の理解を深めると共に、人としての幅を広げたいと考えています。
 


(本内容は、取材当時の情報です)

『国際協力キャリアガイド15-16』掲載

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