2020年国際協力キャリアガイド:
政策研究大学院大学

 

学校紹介「政策研究大学大学院 公共政策プログラム 国際協力コース」

 政策研究大学院大学(GRIPS)は、政策に関わる研究と教育を行う大学院大学だ。
1 9 9 7 年の設立以来、国内外の政府部門で働く行政官、民間企業の幹部候補職員や国際機関での勤務を目指す人などを対象に教育を行っている。特に開発途上国の人材教育を重視しており、全学生の6割以上を、50カ国近くの国や地域からの留学生が占めている。また、社会人の入学が多いため20代から30代の幅広い年齢層の学生が学んでいる。
 GRIPSでは、2020年4月、修士課程公共政策プログラムのなかに、国際協力にフォーカスした「国際協力コース」を開設した。GRIPSは、国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)を大学運営、研究、教育の指針としているが、国際協力コースは、そのSDGs達成のために指導的な役割を果たす人材の育成を目的としている。
 国際協力コースでは、日本語と英語の両方で学ぶ。基礎的な必修科目を日本語で学び、開発に関する指定科目を英語で学んでいく。加えて学内で日本語・英語で行われる多様な科目を選択科目として履修することができる。
 社会人が多いことも考慮して、1年で修士号が取得できるコースとなっている。春に入学、必要な科目を順次履修しつつ秋には論文を書き始めることになる。省庁や自治体、国際機関やNPO、企業などで国際開発・国際協力の分野でキャリアを築きたい人の第一歩としてすすめたいコースだ。
 共に学ぶ留学生が望むのは、まさにSDGsの達成に他ならない。国内一線級の教師陣も魅力的だが、当事者である彼らと共に学ぶことで得られるものも、他では得がたい大きな収穫となるに違いない。

 

先生に聞きました!

国際協力コース
コースディレクター・教授 中垣 陽子先生
 経済学が専門。


 日本人を対象とした公共政策プログラムという修士コースがありますが、2020年、そこに公共政策のなかでも国際協力にフォーカスした「国際協力コース」を新設しました。
 GRIPSには田中明彦学長( 前JICA理事長)をはじめ、国際協力分野の一線級の教授陣が集まっています。コースの特徴の一つが、こうした第一人者から学べるということ。
 次に日本語と英語で学べること。履修すべき科目には、日本語で学ぶ科目と英語で学ぶ科目の両方があります。公共政策に関する基本的な科目は日本語で、さらに五つの指定科目を留学生と共に英語で受講します。最初から100%英語の環境となるとためらう方にもチャレンジしてもらいやすいのではないでしょうか。また、学内のセンターで英語力やプレゼンテーションスキル向上を支援しますので、それらも存分に活用してください。
 さらに特筆したいのが、当事者と共に学べることです。 GRIPSの学生の3分の2は、50カ国近い国々から留学してきた留学生です。彼らの多くは政府の行政官ですが、特に途上国の場合、国の政策課題そのものがSDGsであったりします。机を並べた同級生が当事者で刺激を受けられる上、将来自分のカウンターパートとして再会する可能性もあります。人的ネットワーク構築のチャンスがあるこの環境は、国際協力の道に進みたい人にとって非常に魅力的ではないでしょうか。
 また、1年間で修士号が取得できるコースになっています。海外留学は時間も費用もかかりますが、このコースなら日本に居ながらにして1年で修士号が取得できます。
 国際協力で海外に出て、修士号以上の学位の必要性を痛感している人は多数います。国際協力の世界で公共政策分野の力を付けたいという方、さらにアカデミックな世界に進みたい方にも、ステップアップの機会としてぜひ選択肢に加えていただきたいと思います。

 


学生さんに聞きました!

政策研究学科 GRIPS Global Governance Program(G-cube)博士課程 4年(取材当時) 武田 朝美さん

 アパルトヘイト下の南アフリカ共和国で、人種差別や貧困を目の当たりにして幼少期を過ごし、当時から途上国の開発問題に関心を持っていました。国際協力機構(JICA)の国内長期研修制度を利用して2007年にGRIPSの修士課程「国際開発プログラム」に入学しました。
 修士課程を終えてJICA研究所(現JICA緒方貞子平和開発研究所)で途上国における事業のインパクト評価に従事した後、経済協力開発機構(OECD)在仏日本政府代表部に勤務したのですが、これらの経験を通じて博士号取得の必要性を痛感し、帰国後GRIPSの博士課程に進学しました。
 GRIPSは、教員の質だけでなく同級生の大半が途上国の省庁から派遣された優秀な人々で、学生同士が切磋琢磨できる国際的な環境であるところに惹かれています。プレゼンテーションスキルを磨く機会も多く、国際協力を志す方には非常に有用なプログラムだと思います。


『国際協力キャリアガイド2020-21』掲載

コメント

タイトルとURLをコピーしました