2021年国際協力キャリアガイド:鳴門教育大学大学院

 

学校紹介
「鳴門教育大学大学院 学校教育研究科 人間教育専攻 グローバル教育コース 」
「教師教育のリーダー大学」として人間的魅力ある教師・教育関係者の養成に努める国立大学法人鳴門教育大学大学院。国際協力機構(JICA)と連携協定を結び、1999年からこれまでに60カ国以上の1200人をえる研修員を受け入れた。教員がエルサルバドルやモザンビークをはじめ世界各国での技術協力プロジェクトに参画したり、学内で各国の教育省関係者への研修を行ったりするなど、JICAとの連携体制は強力。2019年の組織改編で誕生したグローバル教育コースでは、学生の半分以上は海外からの留学生。留学生、日本人学生とも、教員や教育関連分野の経験者が多く在籍する。学びの分野は大きく四つに分かれ、「国際教育協力」では国際教育協力の専門家育成を目指し、JICAの技術協力プロジェクトの計画、実施、モニタリング、評価の技法などを身に付ける。「日本語教育・日本文化」では日本語や日本文化、教授法などを学び、日本語教師養成プログラム修了証明書の取得が可能だ。「英語コミュニケーション・異文化理解」では、語学力のみならずコミュニケーション力と文化理解力を備えた専門家育成を目指す。「国際理数科教育」では、万国共通の事物を扱う雑学・理科教育の基礎的な内容理解を深めた上で、世界の子どもたちの科学的態度が育まれるような教材や教授法の開発を行っていく。大学で受け入れた研修員のフォローアップや海外プロジェクトに関わる教員に同行する形で、現地でのフィールドワークも支援。学内で開催されるJICAの研修で来日した教育関係者と交流することも可能だ。英語だけでなくフランス語、スペイン語に対応した調査や活動を行う体制も整っている。

 
 

先生に聞きました!

国際理数科教育分野 講師 日下 智志先生


私が担当する授業では、算数・数学の教育内容や教材、カリキュラムなどの世界動向を研究し、途上国と先進国、それぞれの課題を探求します。それらに対する日本の協力体制、主にJICAプロジェクトの理論と実践についても、私自身の経験を交えながら紹介しています。先進国では、例えば算数・数学教育のカリキュラムもしっかりと分析され、構造的に配列されているものですが、多くの途上国ではそうなっていません。私のクラスの学生は4分の3が留学生。全員に模擬授業をしてもらうことで世界各国の授業の様子が見られ、国による違いの大きさに多くの学生が驚きます。国籍、研究分野も多様な学生とのディスカッションを通じて、自分の国を振り返る機会も多く、常に「国際教育協力」を体感できます。本学の基盤はJICAとの連携。多くの教員が技術協力プロジェクトに参加するなど、研究者と実務者の両側面から指導にあたり、学びの環境は非常に整っています。教員が海外に行くたびに現地の教材を買ってくるので、資料の豊富さも自慢ですね。


学生さんに聞きました!

グローバル教育コース 修士課程2年 酒匂 まどかさん

私はもともと世界史が好きでパレスチナ問題など中東地域に興味を持ち、大学ではアラビア語を学びました。在学中に交換留学でシリアへ行った経験や、卒業後に在外公館派遣員制度を利用して2年間イエメンの日本大使館に駐在した経験を通じ、教育を通して社会に貢献できるようになりたいと思うように。帰国後、働きながら通信制大学で教員免許を取得し、小学校教員になりました。再度大学院に進学しようとしたのは、教育についてもっと学びたい気持ちや、以前からあった国際協力への関心が高まったからです。ただ、年齢的な不安もあったので本学の先生に相談したところ、「決して遅くない。これまでの貴重な経験を活かした多彩な進路が可能だ」という丁寧なお返事をいただき、進学を決意しました。教員時代に特別支援学級の担任をした経験も踏まえ、現在はインクルーシブ教育を研究テーマにしています。コロナ禍なので現地には渡航できませんが、オンラインでネパールの先生とのワークショップなどを計画中です。大学院は留学生も多く、さまざまな教育観に触れ日々気付きを得られています。また、本学の先生たちの多くはJICA専門家でもあり、途上国での教育関連プロジェクトに携わっていたり、学内でもさまざまな国の教育行政官向けのJICA研修が行われていたりします。その際に大学院生も参加させてもらい国際協力を実際に経験できるのが魅力です。
 
(本内容は、取材当時の情報です)

『国際協力キャリアガイド21-22』掲載

コメント

タイトルとURLをコピーしました