2021年国際協力キャリアガイド:日本福祉大学大学院

 

学校紹介
「日本福祉大学大学院 国際社会開発研究科 国際社会開発専攻 修士課程(通信教育)福祉社会開発研究科 国際社会開発専攻 博士課程(通信教育)」
日本で最初の福祉大学として、1957年に設立された日本福祉大学。ハンセン病療養所や孤児院を運営していた僧侶、鈴木修学氏が創設し、多くの社会福祉士や精神保健福祉士を輩出してきた。国際社会開発研究科は、開発課題の解決に向けた実践的教育と研究の場を提供すべく、インターネットを活用して世界中からアクセスできる大学院として2002年度に開設、2004年度には博士課程が開設された。続く2005年度には文部科学省「魅力ある大学院教育」イニシアティブに採択されるなど、短期間に高い成果を上げてきた。修士課程では、開発途上国をはじめとする国内外の社会開発課題に対して、確かな方法論と論理性を武器に解決に挑む専門職業人の育成を目指している。世界のどこにいても学べる通信制、開発分野で活躍する教授陣によるスクーリング、そして豊かな人的ネットワークの3点が特徴。院生の多くが国内外で地域社会の課題に向き合う社会人で、個々の事例を相対化・総合化するため、開発そして貧困とは何かを見つめ直し、質的・量的な調査方法をはじめ、ミクロな地域づくりからマクロな政策論まで総合的に学び、開発学の枠組みを習得する。論文指導の領域は都市・農村地域の開発と福祉、環境、教育、文化、障害、情報、ガバナンスと多岐にわたる。また、修士課程と同じくWEB掲示板で指導が行われる博士課程は、国内外で福祉や開発の現場に臨む実務者に、理論的考察の場を提供している。貧しい人や排除されてきた人など、誰もが自らの力を開花させ、福祉を向上できるような社会を実現するために、現場と理論を往還しつつ、洞察力を磨き続ける真の研究者が、今、求められている。

 


先生に聞きました!

国際社会開発研究科 教授、研究科長 小國 和子先生


国際社会開発研究科では、開発学の基本的な考え方と豊富な事例を学び、現場へ還元できる実践的研究の指導を行っています。インドやフィリピンでの海外スクーリング、自ら企画した調査や海外での開発実務経験の単位認定など、働きながら学位取得を目指す開発現場の社会人学生の実情に応じた制度を整備してきました。私が担当する「研究方法論」では、主にフィールドワークを通じて論文を作成する方法を紹介しています。在籍する学生は、国際機関や国際協力機構(JICA)、NGOなどの実務者が中心で、近年は、福祉、医療、教育、行政など、日本の現場従事者が増え、論文テーマも、国内外にまたがる開発課題が取り上げられています。地域開発を支える組織・制度面へのアプローチとして、リサーチ科目では、2022年度から「ガバナンスと開発」を新規開講します。目の前の課題解決に向けて、現場にいながら開発学を学びたい人にぴったりです。


学生さんに聞きました!

福祉社会開発研究科 国際社会開発専攻 博士課程1年 大橋 充人さん
県職員として、児童福祉や交通対策などに携わる中、多文化共生に取り組む部署に配属になりました。県の多文化共生推進プランを作るため、外国人や支援者に聞き取りをしているうちに、もっと深く知りたいと思うように。そんな時、知り合いが日本福祉大学の大学院で研究をしていることを知りました。それがきっかけで、通信教育なら仕事しながらでも研究ができると思い、進学しました。学部生時代にアラビア語を学び、また、卒業後にエジプトに少し住んでいたこともあったため、日本に暮らすムスリム(イスラム教徒)を研究テーマにしました。修士論文は200枚を超え、書籍『在日ムスリムの声を聴く-本当に必要な“配慮”とは何か-』の出版にもつながりました。国際社会開発研究科には、国際協力の現場で活躍してきた人たちが多く、私のように日本を拠点にする人は少数でした。最初は少し不安でしたが、授業の他、同期の人たちとオンラインで意見交換などをしながら楽しく過ごせて、このつながりは今も続いています。フィールドワークで南インドを訪問し現地の自治システムを学ぶ中で、私のこれまでの仕事は愛知県をフィールドとした社会開発だったと気付きました。また、開発の視点と福祉を融合した「開発福祉」という概念を学び、日本の多文化共生の遅れを痛感しました。研究成果を今後の多文化共生推進に活かしていきたいと思います。
 
(本内容は、取材当時の情報です)

『国際協力キャリアガイド21-22』掲載

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