2021年国際協力キャリアガイド:横浜国立大学大学院

 

学校紹介
「横浜国立大学大学院 国際社会科学府 国際経済法学専攻」
税務や会計の専門家、省庁や企業の派遣社会人、青年海外協力隊経験者、外国政府の派遣行政官、海外からの留学生。横浜国立大学大学院国際社会学府に設けられた国際経済法学専攻は、法学部に限らず多様な学部・大学院で学ぶ学生や社会人を受け入れ、法的思考力と実践力を身に付けたプロフェッショナルを育てている。学生は、社会科学の要となる法学を学び、公共政策分野における高度な実践知の習得につなげ、現実社会に起こる問題の本質を理解し、問題解決能力を磨いていく。同専攻のカリキュラムには英語による授業や海外でのフィールドワークが組み込まれており、留学生の存在も相まって、授業や学生生活の中で自然に国際感覚が磨かれていく。例えば、これまで開催したフィリピンなどへのスタディーツアーでは、フィールドワークの内容はすべて学生が計画。ディスカッションを繰り返し、リサーチクエスチョンをまとめ、アポ取りも自分たちでこなす。現地大学との合同セミナー、省庁や企業、NGO、国際機関などの取材や開発プロジェクトの視察も行う。こうした経験を重ねて実践力を身に付けていく。なお、博士課程前期(修士)には、途上国のガバナンス改善に貢献できる研究者・実務者の育成を目指す「国際協力ガバナンス協力プログラム」も設けられている。社会人学生をサポートする短期修了・長期履修制度もある。 短期修了制度なら博士前期は1年、博士後期は2年で学位の取得が可能。長期履修制度では、標準の修業年限を超えて履修できる。修了者はさまざまな企業の法務部門、国や自治体の行政職、弁護士や税理士などの専門職、国際機関、開発協力の現場などで活躍している

 
 

先生に聞きました!

国際社会科学研究院 教授 荒木 一郎先生


国際経済法学専攻では「国際経済法」の授業でWTOやFTAを取り上げています。当専攻には、法律をしっかりやりたいというよりも、税理士試験に合格したい、国際協力機構(JICA)に入りたいなど、何か目的があり、そのために法律を学びたいと考えて入学してくる人が多いですね。例えば私のゼミでは、中国からの留学生が多いのですが、しっかりWTOやFTAの勉強をして帰国して弁護士を目指すという学生もいる一方で、そこまで法律を究めなくても、修了後は日本の商社や企業に就職しようという目標を持っている学生もいます。法科大学院のようにハードルは高くないですし、さまざまなバックグラウンドを持つ学生が、自分の学びたい領域をカバーする教員を選んで、その下で法学なり、政治学なり開発なりを勉強しています。知的好奇心を満足させることはもちろんですが、社会人学生も多く、実務とつながる多様な人的ネットワークが築けます。学生、教員、同窓会組織を通じて得られるネットワークを大いに活用してください。


学生さんに聞きました!

国際経済法学専攻 博士課程後期3年 石 暁宇さん
中国の大学で日本語を専攻している時に島根大学に1年間交換留学したのですが、教員が教え学生は聞くという中国の教育方法と違い、ディスカッション形式の授業の素晴らしさや学生生活の自由さを知って、もっと日本について理解したい、日本の大学院で学びたいと思うように。首都・東京のことを知りたい気持ちもあり、当時アジアの華人に興味があったので、首都圏の大学で指導をお願いできそうな先生を探して横浜国立大学に入学しました。シンガポールの華人について修士論文を書く過程で開発に興味を持ち、現在は日本をモデルに開発における政府の役割について研究しています。日本を取り上げたのは、アジアの国々にとっては、欧米より日本の研究の方が現実味があると考えたからです。この専攻を選んで良かったのは、まず、素晴らしい先生方に巡り会えたことです。先生方の持つネットワークによって、いろいろな方と交流し、研究会に参加することもできました。東京で開催される学会や研究会に参加しやすいところもこの大学のメリットだと思います。中国の大学には国際開発や国際協力という専門はほとんどありません。その意味で中国では非常に将来性のある研究だと思います。将来はまだ漠然としていて、大学以外の世界も見てみたい気もしていますが、ひとまず帰国して大学の教員にチャレンジしてみようかなと思っています。
 
(本内容は、取材当時の情報です)

『国際協力キャリアガイド21-22』掲載

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