「早稲田大学大学院アジア太平洋研究科(GSAPS)」
2020年度はオンラインでの授業が多くなったが、新たなラーニングシステムを適用。リアルタイムでの双方向の授業を重視した。また、来日できない学生が本国から参加するケースもあった。学生の9割は、50以上の国・地域からの留学生。大学・研究科独自の奨学金や補助金制度も設けられ、研究生活を支援する。一般入試は年に2回。国籍・年齢は不問。在外公館勤務や青年海外協力隊、国際NGOなど海外での国際協力活動を経験した人向けの特別推薦入試(修士課程)も実施している。修了生の進路は公務員、国際機関、国際協力機構(JICA)、NGO、民間企業など。国内外の大学教員、研究者として活躍している人も多い。
先生に聞きました!
アジア太平洋研究科 教授 鍋嶋 郁先生
講義科目では「東アジアにおける経済発展と貿易」「規制と貿易」、それに修士課程と博士課程のゼミを担当しています。企業にとって今後、規制・スタンダードへの対応が非常に重要になります。なぜならサプライチェーン全体で基準を満たしていないと輸出入できなくなるからです。最近ではこのような基準は人権や環境もカバーしており、影響が大きいと考えています。学生は、こうした課題や東南アジアの地域統合、アフリカにおける技術協力プロジェクトの効果などを研究しています。いろいろな国から、国際的な問題や地域課題に関心を持って来ている学生が多いので、国際的な関心がある学生にとっては、非常にいい学びの場だと思います。私は世界銀行に10年、日本貿易振興機構アジア経済研究所に5年勤務した後、ここで教えるようになりました。国際機関などでの実務経験のある教員が多いのが、当研究科の特徴です。学術研究をもとに、実社会にどのようにアプローチしていくのかが難しいので、そこが学べると思います。
学生さんに聞きました!
アジア太平洋研究科 博士課程後期 ラジャイ 麗良さん
子どもの頃から海外に住む機会があり、将来は国際社会を舞台に仕事をしたいと考えていました。学部3年生の時、教育を受けられなかった移民の方との出会いがきっかけで、教育開発の道に進みたいと考えるようになりました。教育がいかに人生を左右するか考えさせられ、私が今まで当たり前のように受けていた教育のありがたみ、不公平な世界への怒りを感じ、すべての人々が質の高い教育を受けられるように貢献したいと思いました。その頃手に取った本が本学の黒田一雄先生の『国際教育開発論-理論と実践』でした。GSAPSには各分野の第一線で活躍している先生方がいらっしゃいます。
そのような先生方の下で専門性を高めたいと思い、修士課程に入学しました。批判的思考能力や異文化理解能力を高める教育に関心があり、高等教育の地域統合化を研究テーマにしています。修士では、大学の補助金を得てキルギスでフィールドワークを行い、キルギス人の卒業生の協力によって多くの関係者にインタビューができました。GSAPSでは、講義が日英両言語で開講されています。英語での授業は大変でしたが、学内の日々の会話もほとんど英語なので、英語が自然に上達しました。語学能力が付いたことによって、博士課程では海外(ブリュッセル自由大学とジュネーブ国際・開発研究大学院)でも研究活動を行うことができました。
(本内容は、取材当時の情報です)
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