株式会社アルメックVPI|国際協力に携わる企業

都市開発・交通をコアとしたプランニング

 新型コロナウイルス感染症は世界中に影響を与えたが、大きな影響を受けたのが開発途上国であり、その都市部に暮らす住民だ。感染症対策を強化するため、国際協力機構(JICA)は、8カ国9都市を対象に「全世界COVID-19等感染症に対する都市環境改善プログラム形成準備調査」を実施。業務を担当したのが、アルメックVPIだった。

 同社は、都市計画や運輸交通計画を基軸に、国内外で社会開発、環境、防災などの分野でプランニングを専門に行う。近年は、従来のプランニング業務に加えて、交通安全、バスの運行改善、地方都市における持続可能なまちづくり、公共投資戦略改善等、幅広い分野に携わる。日本の駅周辺まちづくりの経験を生かし、都市鉄道整備に合わせた都市と交通の一体開発にも取り組む。

 フィリピン、ベトナム、モンゴルに事務所を構え、東南アジアを中心に全世界でサービスを展開している。JICAの政府開発援助(ODA)案件の他、アジア開発銀行や世界銀行などの国際機関、各国政府の案件が中心。近年は民間企業の要望にも対応している。

 ユニークなのは、社内での知識の体系化に向けた取り組み。自社事例研究、定期的な社内勉強会や学術論文の発表・レビューなどを積極的に行う。

 海外部門での新卒採用は修士課程または博士課程修了見込みの人、中途採用は原則として運輸・交通計画や都市・地域計画などの経験者が対象。現場主義で経験を積み上げていくことを重視する。

わが社の2030構想

誰もが歩いて暮らせる
公共交通中心のまちを 

 SDGsではゴール11に「住み続けられるまちづくりを」が掲げられています。当社は得意とする交通分野の取り組みで貢献しています。

 公共交通を軸とした都市形成の観点では、鉄道やバスへのバリアフリーアクセスの確保を図っています。それにより、高齢者や障害者も含め、誰もが歩いて暮らせるまちの実現が近づきます。最近では、「モビリティマネジメント」の考えを取り入れ、人々の行動変容にも取り組んでいます。

 SDGsのゴール3「すべての人に健康と福祉を」に関連して、「交通事故を半減する」というターゲットも設定されています。工学・取り締まり・教育のノウハウを生かし、対策を進めています。

社員・職員さんに聞きました

好きだった地図と旅行
都市計画の道につながり
途上国の開発に結び付いた

伊藤智洋さん(海外事業本部総合企画部コンサルタント)

 地図や旅行好きが高じて、大学進学時には都市計画を専攻に選びました。語学にも興味があり、タイ語の授業を受講。その先生の「若いうちにタイに行きなさい」の言葉に触発されて、タイへ旅行しました。それが開発途上国との出会いです。

エジプト・カイロでの都市計画改善の調査

 大学院で、タイ・バンコクの都市計画の調査をしたとき、途上国と都市計画が結びつき、これを仕事にしたいと、アルメックVPIに入社しました。

 

住宅が密集するカイロの市街地

 入社2年目、8カ国9都市を対象にした感染症に対する都市環境改善の調査で、インドネシアのジャカルタとエジプトのカイロを担当しました。両国は都市計画の進め方が異なります。ジャカルタには「地元に公園がほしい」といった住民の提案を都市計画に取り込む仕組みがあります。カイロは行政主導ですが、スラム改善のため、新たな街への住民移転とスラム自体の改善の両方が行われています。各行政機関との会議でもそれぞれの立場や背景を理解し、将来の方向性を提案する必要がありました。

インドネシア・ジャカルタでの打ち合わせ

 政府の仕事が多いので、他の業界や国内の仕事では感じられないようなスケール感を感じています。 

略歴

・17歳:物心ついたときから旅行や地図が好き。理系で分野が近い都市計画進学を志望
・18歳:東京大学工学部都市工学科在学中、語学の先生の勧めでタイに渡航
・23歳:大学院でバンコクの都市計画調査。途上国と都市計画が結びつき、就職を意識
・24歳:アルメックVPI入社。感染症に対する都市環境改善に関する調査などを担当

会社データ 

・名称:株式会社アルメックVPI
・設立:1971年
・資本金:7,000万円
・従業員数:80人(2021年5月現在)
・本社:東京都新宿区
・海外拠点:マニラ、ハノイ、ウランバートル
・住所:〒160-0022 東京都新宿区新宿5-5-3
・Tel:03-6362-5931
・Mail:hq@almec.co.jp

『国際協力キャリアガイド22-23』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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