社会人対象の通信制大学院
仕事をしながら学べる大学院として、2006年の開設以来、多くの社会人を受け入れてきた通信制大学院。連合国際協力研究科は、「人間の安全保障」と「人間中心の開発」の理念に立脚しながら、国際社会の多様な課題に対して柔軟に対応できる学術的な知識と能力を有する人材の育成を目指す2009年からは系列の九州保健福祉大学との連合により、多様な研究領域における指導体制の強化を図り、さまざまな経歴を持つ学生を幅広く受け入れている。オンラインでの個別指導にも対応し、海外在住うの学生も多い。担当教員とのメールやオンラインツールで密にやりとりしながら、個々のスケジュールにあった研究が可能だ。
JICA青年海外協力隊など国際協力の実績を持つ学生には入学金免除の制度もある。
カリキュラムは、必修科目の国際協力総論のほか、保険・医療・人口、環境、経済、教育、文化などの選択科目、研究方法を習得するための特別研究から構成される。選択科目に含まれる「地域調査法特論」では、兵庫県南あわじ市にあるキャンパスを拠点に、地域調査や統計分析の手法を実践的に取得。地域住民などへのインタビューを通じて地域の課題を分析し、分析の方法や現場と研究を結ぶ洞察力を身に付ける。修士論文の執筆は、学生一人に3人の教員がつくきめ細かいサポートが魅力だ。
学生間の交流も活発で、毎年開催される同窓会では、修了生も含めたような分野で活躍する人材が集まる貴重な機会となっている。
わが大学が目指す2030年
本学は、学期初めのオリエンテーションで、大学の環境マネジメント活動について周知し、毎年大学生活の中で、教職員や学生らが環境問題を意識した取り組みを行っています。授業内外においても環境に配慮した取り組みを心がけ、授業では環境に関する話題を提供するなどして、学生らに環境教育をしています。授業外でも、教職員や学生らによる環境美化活動を推奨しています。
また、本学はSDGs推進委員会を設置し、持続可能な社会の構築に向けて、授業や研修会などを行い、教職員や学生らによるSDGs推進を図っています。連合国際協力研究科で開講する多くの科目においてもSDGsや環境に関わる内容に触れ、環境問題やSDGsに関する教育を強化しています。
個々の経験を俯瞰し、成長へつなぐ研究を
社会人の専門教育を目指す本研究科には、20~60歳代と幅広い年齢の学生が集い、外国籍の方も学んでいます。企業や医療機関、教育機関、NGOなど多様な職場で働きながら、それぞれの実務経験をもとに、具体的な課題意識を持って研究しています。働きながら学ぶのは大変ですが、皆とても熱心です。私たち教員の役割は、データ収集や分析の手法、論文作成の方法など「方法論」を伝えること。忙しい社会人学生のニーズに応えられるよう、タイムリーな返答や臨機応変な対応を心がけています。個々の経験を客観的に評価・分析し、各職場でのスキルアップや自己成長につなげてほしいと思います。
学生(卒業生)の声
もう一度、海外へ渡り結果を残したい
大学卒業後、介護などの仕事に携わり、2019年からJICA青年海外協力隊としてヨルダンの特別支援学校で障がいのある子どもたちの情操教育に携わりました。任期途中の2020年3月、新型コロナウイルス感染症の影響で帰国を余儀なくされ、その後の進路について悩みましたが、働きながら学べる通信制大学院に進むことを決めました。
東京でもスクリーニングが行われる吉備国際大学大学院で、福祉の仕事を続けながら研究しています。研究テーマは、コロナ禍の国際ボランティアについて。海外でコロナ関連の差別的な言動に遭遇し、国内の介護現場などでもコロナの影響が顕著に見られたことがきっかけです。コロナ禍の国際ボランティア活動をどのように進めていくのか、協力隊として再赴任した人たちに話を聞きながら、当事者の立場から考えています。淡路島のフィールドワークに参加した際、ヨルダンの人類生態学が専門の末吉秀二教授や同級生と交流を深めることができました。2023年から隊員としてスリランカに再赴任する予定です。その日のために今、学びを深めています。
学校DATA
・名称:吉備国際大学大学院連合国国際協力研究科
・取得可能な学位:修士(国際協力)
・定員 : 7人
・学費 : 入学金15万円、
・授業料:73万円(前期・後期分納)
・開講形態 : 通信制
・奨学金 : 日本学生支援機構の奨学金
・所在地 : 〒716-8508
・岡山県高梁市伊賀町8
・Tel : 0866-22-9191(通信教育事務課)
・Mail : tsushin@kiui.ac.jp
『国際協力キャリアガイド22-23』掲載
(本内容は、取材当時の情報です)