広島大学|大学院人間社会科学研究科 教育科学専攻 国際教育開発プログラム|国際協力が学べる大学・大学院

国際的な環境で開発途上国の教育開発を研究

 広島大学大大学院人間社会研究科の「国際教育開発プログラム」は、同大学院の再編に伴い国際協力研究科「教育開発コース」を引き継いで、2020年4月に設置された。同プログラムでは、アジア、アフリカ地域をはじめ、開発途上国・地域の教育開発をめぐるさまざまなテーマについて学び、研究できる。「教育協力実践基礎編I・II」や「日本の教育開発経験」などの授業科目では、協同問題解決の理論と実践の両面を、グローバルな視点から学ぶことができる。

 同プログラムの特賞は、在籍する大学院生の約7割が、世界20ヵ国の国・地域から来た留学生であることだ(2022年4月現在)。大学院の授業やゼミは、主に英語で実施されるため、語学力の習得もプログラムの魅力の一つとなっている。

 さらに国際協力機構(JICA)との連携により、JICA海外協力隊員としてザンビアで理数科教員を務めながら、最短3年半で修士号を取得する「ザンビア特別教育プログラム」も用意している。国際教育協力の分野で活躍することのできる人材育成を目的とし、これまでに国際協力専門家、学校教育、研究機関、民間企業など、さまざまな機関に修了生を輩出している。そのほか、海外でのインターンシップを経験できいる「グローバルインターンシッププログラム(G.ecbo)」や短期交換留学(HUSA)プログラム」も設定しており、海外経験を積みたい学生に人気が高い。

わが大学が目指す2030年

 多様性を認め合うための法整備や、関連研究の実施などが世界中で休息に進む中、その重要性を理解し、国際的に活躍できる人材の輩出が、今後さらに重要となります。2022年5月現在、広島大学は84の国と地域から1600人以上の留学生を受け入れています。

 そして、留学生と日本人学生は授業・研究室活動・学会活動において協働する中で、国際的に活躍できる資質能力を向上させています。多様な国際教育事業も展開しており、例えば、国際展開力強化事業では、「インクルーシブマインドを醸成するアジア地域国際共同人材育成」として、日本を含む5カ国の学生が、多様性やインクルージョンについて学んでいます。

途上国の国際教育協力プロジェクトを立案

 国際教育開発プログラムは、教育の多様な専門分野を網羅し、かつ途上国の現場経験も豊富な教授陣を有しています。授業では、学生が教育開発の諸理論の理解に止まらず、途上国の文脈において理論と実践をつなげて考えられるような展開を心掛けています。例えば「教育協力実践基礎論Ⅰ・Ⅱ」という科目では、留学生や日本人学生混成の小グループを複数つくり、論理的手法を用いて途上国の国際教育協力プロジェクトを立案します。留学生の多くは母国の教育行政官や大学教員、現職教員であり、受講生は彼らとの議論を通して教育開発の現状理解を深めながら、論理的・批判的思考力やコミュニケーション能力も向上させています。

※三輪千明先生(大学院人間社会科学研究科 准教授 専門は発展途上国の幼児教育・保育の効果研究、幼児教育・保育の国際協力など)

使って!この授業・この制度

 大学院で学びながら、2年間のJICA海外協力隊にも参加できる「ザンビア特別教育プログラム」は本学が先鞭をつけた制度で、協力隊参加中も単位が与えられます。理数科の教員として活動するので、生徒たちに教えるだけでなく、例えばザンビアでほとんど行っていなかった理科実験を中心とした授業や子どもたちの考えを取り入れた算数・数学の授業をどう普及させるかを模索します。現地の教員や大学院生と共に、研究を行うこともあります。新型コロナ流行時は学生を近隣のウガンダおよび同国においても首都ルサカにしか送れませんでしたが、状況の改善に合わせて通常通りの再開に向けて備えています。(大学院人間社会科学研究科 清水欽也教授)

学生(卒業生の声)

翻訳を通じて日中の相互理解へ

李正政((りせいせい)さん 大学院国際協力研究科 教育文化専攻 教育開発コース(当時)博士課程後期2018年3月修了)

李正政((りせいせい)さん 大学院国際協力研究科 教育文化専攻 教育開発コース(当時)博士課程後期2018年3月修了)

 母国の中国で大学に入り、日本語を学ぶ中で、日本の新聞・テレビのニュースに触れるように
なりました。そのうち「日中の相互理解のために、ニュースを翻訳・生成する仕組みを究明した
い。日本の大学院へ進もう」と思って、広島の土を踏んだのです。

 広島大学は世界各国から留学生が集まっており、学習面・生活面の手厚い支援や、使いやすい図書館など、勉学に専念できる環境が整っていました。修了後は母国の大学で働きたいと思っており、幸いにも北京科技大学の講師となって、日本語教育と異文化交流に励んでいるところです。視野を広げ、豊かな経験を積ませてくれた広島大学に感謝しています。

「先生の先生」の視点で教育を再考

宇都宮ありささん(大学院国際協力研究科 教育文化専攻 教育開発コース(当時)博士課程前期2019年3月修了)

宇都宮ありささん(大学院国際協力研究科 教育文化専攻 教育開発コース(当時)博士課程前期2019年3月修了)

 好きな教科が英語だったので、英語を活かせる仕事として国際協力に興味を持ちました。広島大学の学部3年次に「国際協力特定プログラム」を受講した際、スタディツアーでフィリピンに
渡り、JICAによる支援活動を見学したこともあります。

 その後、「先生の先生」という視点から教育を見つめ直す教師教育という分野を知り、大学院に進学。修士論文は「タイ中等英語教育における外国人教員の影響」で、タイの学校や教育省で聞き取り調査も行いました。今は教職に就きましたが、さまざまなバックグラウンドを持つ学生と議論したおかげで、どんな課題に直面しても、同僚や生徒・保護者との連携を大切にする姿勢が身についていると思います。

学校DATA

・名称:広島大学|大学院人間社会科学研究科 教育科学専攻 国際教育開発プログラム
・取得可能な学位:修士・博士
・定員:修士課程40人、博士課程9人
・学費:53万5,800円(年間)
・奨学金制度:あり(日本学生支援機構、地方自治体など
・所在地:〒739-8529 広島県東広島市鏡山 1-5-1 (東広島キャンパス)
・Tel:082-424-5902
・Mail:koku-gaku@office.hiroshima-u.ac.jp

『国際協力キャリアガイド22-23』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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