森林保全や気候変動・豪雨対策にも重点
国際航業は、「空間情報で未来に引き継ぐ世界をつくる」をミッションに掲げ、近年は、森林保全や再生可能エネルギーに関する取り組み、気候変動の影響が見られる豪雨災害への対応、防災事業にも力を入れる。
創業は、終戦直後の1947年。航空写真測量のパイオニアとして一歩を踏み出した。その後、地質や海洋の情報を読み取る「調査」、地図を用いて「計画」「設計」を担う総合的なコンサルタントに業容を拡大。防災や再生可能エネルギー分野も手掛けるようになった。
政府開発援助を通じた海外支援は、毎年30ヵ国以上で開発コンサルティング事業を行っている。業務分野は地理情報のほか、水・衛生、森林、農業、防災、都市開発、エネルギー、地球温暖化対策など多岐にわたる。
防災事業では日本国内の事業で培った地理空間情報技術を軸に、途上国のインフラのレジリエンス(強靭性・復元性)強化や監視・早期警戒体制の構築に貢献している。
最先端技術を駆使する地理空間情報の技術・事業が高く評価され、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンや国連防災機関などの国際的な取り組みを世界に発信している。
海外コンサルティング部は約3割が青年海外協力隊経験者。技術者のキャリア形成支援や外国籍社員の雇用、男性社員を含めた育児休暇制度取得の奨励など、多様な人材が働きやすい環境の整備にも積極的だ。
当社の“2030年構想
REDD+の調査支援
グループでSBTi認定
気候変動対策に貢献する事業としては、開発途上国の森林保全に先進国が資金を提供する「REDD+」に関わる調査・コンサルティングをはじめ、森林による二酸化炭素(CO2)吸収量の算定支援、森林環境資源の保全サービスの提供、風力発電所整備計画の準備調査などを展開しています。
日本国内では、施設のエネルギー消費を実質ゼロにするZEB化や太陽光発電導入などのコンサルティングも行っています。
グループ全体として、科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減目標を定め、2021年9月にScience BasedTargetsイニシアティブ(SBTi)認定を取得。2030年の目標達成に向けて取り組みを実行しています。
社員さんに聞きました
現地の調査・活動で志した
住民への直接のアプローチ
「鳥の目」生かして実践
子どもの頃から海外との交流があり、日本と海外との違いを意識していました。大学では、国際協力のゼミに入りました。ゼミのフィールドワークで住民の話を聞き取った経験から、住民にアプローチできる国際協力をしたいと思うようになりました。大学院修了後、青年海外協力隊(コミュニティ開発隊員)としてマダガスカルに派遣されました。水利組合の立ち上げを進める中で、住民が、組合費の徴収や施設の維持管理に課題を抱えていることに気付きました。Google Earthを使って、住民と地図を作成しました。住居、田畑、川の位置関係について理解し、活動計画を作成することで、課題解決に貢献できました。その体験があり、空間情報に関わりたいと考えるようになりました。
入社後は、防災案件に関わり、ホンジュラス首都圏の土砂災害対策では、土地利用に関するルールづくりを進めています。日本の事例をそのまま導入するのではなく、現地に適したやりかたを考えるよう心がけています。住民のために働く行政のレベルアップを図るなど、やりたかった仕事であり、人命に直結するので使命感もあります。
略歴
・18歳:法政大学国際文化学部に入学。フィリピン調査で、住民に関わりたいと意識
・22歳:大学院に進学し、ブルキナファソを研究。現地でも調査。NGOでインターン
・24歳:青年海外協力隊でマダガスカルへ。水管理組合の活性化支援で衛星画像を活用
・26歳:国際航業入社。ホンジュラスの土砂災害対策やパキスタンの防災人材育成に従事
会社データ
・名称:国際航業株式会社
・設立:1947年
・資本金:67億9,400万円
・従業員:1,896人(2022年3月)
・本社:東京都新宿区
・住所:〒169-0074 東京都新宿区北新宿2-21-1 新宿フロントタワー
・Tel:03-6361-2451
・Mail:overseas2@kk-grp.jp
『国際協力キャリアガイド22-23』掲載
(本内容は、取材当時の情報です)
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