株式会社ティーエーネットワーキング|国際協力に携わる企業

保健医療を柱に国内外で開発課題に挑戦

 株式会社ティーエーネットワーキング(TA社)は、メキシコの歯科医から転身し、技術協力プロジェクトの業務調整の仕事に携わっていた代表取締役の谷保茂樹氏が2000年に創設した。

 個人で政府開発援助(ODA)に関わる専門家のプラットフォームとして「チームとしても和をもって国際協力にあたろう」という思いが背景にあった。

 主な事業には、保健医療分野のプロジェクトに関するコンサルティング業務、ODAによる技術協力プロジェクトの管理・運営業務の委託、技術移転を目的とする海外への専門家派遣および海外からの研修受け入れ業務、の3つがある。

 クライアントは国際協力機構(JICA)をはじめ、日本の官公庁、世界保健機構(WHO)や国連児童基金(UNICEF)などの国連機関に及ぶ。JICAの研修受託も増え、22年度は10コースを数える。

 近年は若手人材の積極的な採用を進め、社員の女性比率も6割に上昇。現場での業務を通じ、自己研鑽する姿勢を推奨している。

 近年、行政の能力向上うあコミュニティ開発を含む包括的な案件が増えており、母子保健、栄養、5S-KAIZEN、保健システム、医療機材などに加えて、疫学統計、水産、社会保障、コミュニティ開発、ジェンダー、障害、ITと多岐にわたる分野の人材が国内外で活躍中だ。

 社員はJICAの国内研修で講師を務め専門的知識を蓄積する一方、定期的な社内勉強会を通じて、互いの知見の共有にも努めている。

当社の“2030年構想”

SDGs「すべての人に
健康と福祉を」に貢献

当社は、SDGsのゴール3「すべての人に健康と福祉を」に貢献しています。アンゴラの母子保健サービスの向上、ザンビアの保健施設センサスに基づいた投資計画策定の能力強化など、アフリカを中心に保健医療分野のJICAの技術協力プロジェトを行ってきました。同じくJICAから受託した国内研修事業では、公衆衛生活動による母子保健強化、地域保健システム強化による感染症対策、エビデンスに基づく公衆衛生計画の立案といったテーマで多数実施しています。

当社オリジナル、特注のSDGsゴール3けん玉

当社オリジナル、特注のSDGsゴール3けん玉

社員さんに聞きました

若手も即戦力として
海外現場に
実務を通じ技術協力を学ぶ。

福嶋幸さん(海外プロジェクト部 サブマネージャー)

 当社は若手を即戦力として海外業務に登用しています。私も入社2カ月後にエチオピアのプロジェクトに出張する機会に恵まれました。以降、ナミビアやカンボジアへ日本の医療機器や技術を導入する案件、また、2017年からはJICAの「アンゴラ国母子健康手帳を通じた母子保健サービス向上プロジェクト」に従事しました。この案件では、1年目は業務調整を担当し、技術協力プロジェクトについて1から学ぶことができました。2年目からは「母子保健/栄養」という専門業務を担当し、母子健康手帳利用のための研修実施や、母子保健サービス向上のための保健施設の巡回指導を保健省のカウンターパートと一緒に実施してきました。当初の計画では、母子手帳の導入は3州の予定でしたが、保健省は「全国に展開を」との意欲が高く、今年6月のプロジェクト終了時には、全国18州中11州に拡大しました。

母子健康手帳利用のための研修

母子健康手帳利用のための研修

 今年4月に帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、修士号を取得したいと考えています。アンゴラのプロジェクトをベースに母子保健分野の課題研究を行う予定です。

JICA沖縄で行った母子保健研修

JICA沖縄で行った母子保健研修

母子健康手帳をもらいに来た夫婦と福嶋さん

母子健康手帳をもらいに来た夫婦と福嶋さん

略歴

・14歳:中2の授業で、青年海外協力隊員の映像を見て「かっこいい」と憧れ、将来の夢にする
・22歳:夢を叶えるため、大学で看護師と保健師の資格を取得。大学病院に看護師として就職
・25歳:協力隊参加。ラオスの病院で言語に苦労しつつ、相手のペースに合わせる大切さを学ぶ
・27歳:当社に入社。技術協力プロジェクトに従事
・34歳:7年目の今年、管理職に

会社データ

・名称:株式会社ティーエーネットワーキング
・設立:2000年
・資本金:1,500万円
・従業員:22人
・本社:東京都渋谷区
・住所:〒150-0036 東京都渋谷区南平台町2-7 エスティービル3階
・Tel:03-5456-8915
・Mail:info@ta-n.com

『国際協力キャリアガイド22-23』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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