大学の国際化最前線|東京都市大学|国際協力が学べる大学・大学院

オーストラリアの大学で寮生活
修了後に成績優秀なら奨学金も

 

TAP参加者の体験談を聞く機会も

 「在学生の50%以上が海外留学に参加」という目標を掲げる東京都市大学では、さまざまな海外留学プログラムや国際交流の機会を用意している。中でも、2015年に始まった「東京都市大学オーストラリアプログラム(TAP)」は、入学直後から参加できる点で画期的だ。

 国際部の程田昌明部長は、TAPについて「語学力と異文化を理解する力を磨きながら、自主性や自立心を高めることが目的です。入学前にエントリーを行い、最短で1年次の2月からオーストラリアの大学に留学して、寮生活を送りながら勉強します」と話す。近年はTAP参加を目的として東京都市大学を志望する学生も多く、2024年度は600人の派遣を目指す。

 入学後にTAPの参加登録をした学生は、まず1日40分、週5日の語学準備講座に臨む。合計100日かけてネイティブスピーカーの指導を受け、実践的な英会話や英文ライティングの能力を高めるほか、TOEICテストを複数回受験して、自分の現在の英語力を確かめられる。また「留学準備研修会」では、TAPに参加した先輩学生から体験談を聞いて不安を解消したり、ビザ取得や渡航について説明を受けたりできる。

4カ月間、英語漬けの生活

 留学先は、オーストラリア西海岸のパース近郊にあるエディスコーワン大学、およびマードック大学だ。前者は東京都市大学と共にアジア・大洋州5大学連合(AOFUA)を形成するなど交流が深く、2018年から加わった後者はアジア研究や環境科学分野の研究・教育に定評がある。

 留学期間は4カ月間で、1年次の2月か2年次の8月に出発する。前半7週間は大学付属の語学学校で英語の会話・作文能力をさらに高め、後半6週間は大学で講義やディスカッションに臨む。後半に教わる科目は、派遣先の大学と東京都市大学が共同開発しており、都市計画やメディア、国際関係に関する科目もある。受講すれば東京都市大学の単位として認定される。

 「寮生活で自炊も必要なため、授業以外でも現地の学生や留学生と頻繁に会話することでしょう。まさに英語漬けの日々ですが『英会話に自信がついた』『交流や議論を通じて視野が広がった』と、学生の評判は上々です」と程田部長は語る。TOEICのスコアを見ても、TAP開始前に比べて留学後は平均で110点ほど伸びている。

 上位10番目までの成績優秀者には奨学金が与えられるので、参加者の励みとなる。2023年からはTAP参加などの条件を満たせば、2年次から名門のクイーンズランド工科大学ディプロマコースで学べる上級者向けプログラム「AdvancedTAP(ATAP)」も始まった。大学院進学が多いこともTAPの特徴で、2024年度にはエディスコーワン大学との共同大学院(国際連携専攻)を開設する。

※グローバル化の時代、大学・大学院など高等教育の現場でも国際化が進んでいます。このコーナーでは、アジアをはじめ世界とのさまざまな「知的交流」に向けた取り組みや国際協力を学べる大学を紹介します。情報提供お待ちしています。

 

『国際開発ジャーナル2023年11月号』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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