株式会社国際開発センター  一般財団法人国際開発センター|国際協力に携わる企業(21-22)

シンクタンクの老舗として総合力を発揮

 国際開発センター(IDCJ)は、経済界が中心となり1971年に財団法人として設立された開発・国際協力分野専門の総合シンクタンクだ。

 設立以来、調査、研究、研修を柱として、政府開発援助(ODAに関する政策や事)業の形成、実施、評価に携わってきたが、2010年に一般財団法人に移行するとともに株式会社を設立し、二法人体制となった。調査事業と人材養成事業を株式会社が。公益性の高い社会貢献推進事業、自主研究事業、国際交流事業を一般財団法人が担当している。

 専門とする分野は行財政、地域開発、社会開発、農業開発、産業開発、運輸交通、評価など多岐にわたる。活動地域もアジア、アフリカ、中南米と世界各地に広がっている。

 売り上げの約9割は国際協力機構(JICA)から受託するODA案件だが、近年は民間企業や国際機関、NGOなどの案件も増えている。2018年にはSDGs室、翌19年にはビジネスコンサルティング部(現・ビジネス開発部)を新設し、企業向けのセミナーやコンサルティングサービスなど、独自の事業も展開している。

 IDCJでは、開発コンサルタントとしての豊富な実務経験を持つ人を研究員(コンサルタント)として採用する一方、経験の浅い人は研究助手として採用している。研究業務の後、研究員へと昇格する道が開かれている。研究助手の応募資格は、修士号を持つ、25歳以上で英語での業務遂行が可能な人。

 IDCJ全職員の男女比はほぼ半々。裁量労働制を取り入れ、研究職の給与は個人業績により決定される。そのため若くても実力があれば、高い収入を得ることが可能だ。

事業分野/採用情報

事業分野:運輸交通、人材育成・教育、保健、IT・情報、農村開発、都市・地域開発、産業、環境など

募集職種:研究員(コンサルタント)、研究助手
募集人数:若干名

わが社の働き方改革

裁量労働制とそれをフォローする体制

 IDCJでは、自身の事情に合わせ、好きな場所で、好きな時間に、自由に勤務することができる裁量労働制を採用している。研究員は新型コロナウイルス感染症の流行以前からリモートワークを行ってきたが、感染症流行でリモート化がいっそう進み、都内から首都圏近郊に家族と共に引っ越した職員もいるという。

 一方でリモートワークは同僚との接点が減り、それを不安に感じる職員もいる。そのため、若手研究員と管理職研究員が定期的にコミュニケーションを取る仕組みを導入。若手の悩みや不安を経験豊富な先輩が聞き、一緒に考える場とした。さらにそうした声を社内で共有し、会社全体で対応していく体制も整えた。

 なお、入社までの本人の業務経験にもよるが、若手研究員は一定期間オフィスで営業(業務支援事務)に従事し、プロジェクトのロジスティックス・運営面を理解してから現地業務に参加することを基本方針としている。

社員さんに聞きました

開発プロジェクト部 研究員 松田 奈名子さん

15歳 国連のキャンペーンから
高校1年がちょうど「国連持続可能な開発のための教育の10年」にあたり、グローバルな課題に興味を持ち始めました。JICAのイベントへの参加などを通じて、漠然と将来は国際協力に携わることができればと思うようになりました。

21歳 大学では防災のゼミに
立命館大学政策科学部で学びながら、ジャワ島中部地震で被災した村落の開発を行う学生ボランティア活動にも参加していました。この活動に防災が含まれていたことなどもあり、防災研究も行っていた教授のゼミを選びました。

23歳 英国の大学院に留学
ゼミでの学びを通じ、災害脆弱(ぜいじゃく)性の観点から途上国の「都市」に興味を持つようになりました。国際協力業界で仕事をするなら修士号取得をという先生方の勧めもあり、英国のロンドン大学大学院に留学し都市開発計画を学びました。

25歳 開発コンサルに的を絞る
学部時代に国際機関やNGOなどさまざまな職種の方の話を聞いたりJICAのプロジェクトを視察したりして、開発コンサルタントという仕事が性に合っている気がしていました。就活で最初に内定が出た当社に入社しました。

31歳 重ねた経験が仕事の糧に
幸いなことに、学生時代に抱いていたイメージに近いところで仕事ができています。高校時代から時間をかけて業界に携わる多くの方と接し、仕事の糧になる経験がたくさん積めたことが役立っている気がします。

PROJECT FOCUS

ペルー北東部の農業景観

多様な分野で経験値を蓄積中

 専門分野の業務も多少含みますが、現在は主にコーディネーターとして幅広い分野の案件に携わっています。具体的には、インドネシアの持続可能な開発目標(SDGs)実施体制強化プロジェクト、カンボジアの物流システム改善プロジェクト、ナミビアの国際物流ハブ構築促進プロジェクト、ペルー北東部の文化的景観の持続的な開発促進プロジェクト、橋梁維日本の当たり前が通用しなかった持管理の研修、バングラデシュ南東地域インフラ開発イニシアティブ運営実施体制に関する調査です。

 国によってカウンターパート機関の組織文化や仕事の仕方、物事の考え方が異なることや、日本の当たり前が通用しなかったり、アプローチを変える必要があったりといった苦労はありますが、それによって視野が広がったり、多様な方策と柔軟に対応する力が経験値として蓄積されたりする点がこの仕事の醍醐味(だいごみ)だと感じています。他にも、「自分の立場で自国をこう発展させたい」という気概のある方に出会えるのも、この仕事ならでは。担当案件が少しでもその役に立てるのはうれしいことです。

企業情報

設立:2010年(株)(一財)、1971年(旧法人)
資本金:8,000万円(株)
従業員数:96人(株)、8人(一財)
本社:東京都港区
住所:〒108-0075 東京都港区港南1-6-41 芝浦クリスタル品川12階
Tel:03-6718-5932(株)  
   03-6718-5931(一財)
Mail:recruit_r@idcj.or.jp (研究職)
        recruit_g@idcj.or.jp (事務職)
HP:https://www.idcj.jp/

『国際協力キャリアガイド21-22』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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