東京大学 大学院新領域創成科学研究科 環境学研究系 国際協力学専攻|国際協力が学べる大学・大学院

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「学融合」で困難な課題に挑む

新領域創成科学研究科は閑静な柏キャンパスにある

 東京大学の新領域創成科学研究科は、伝統的な学問体系では扱いきれなくなった重要課題に取り組むため、「学際」を超えた文系・理系の「学融合」という概念で、新しい学問領域を創出することを目指して設立された。同研究科に属する国際協力学専攻は、貧困や環境、資源管理、国際政策協調等の国際協力の最前線における諸課題を多分野の視点から科学的に解決することを目指している。

 同研究科では、学生の専攻分野や背景は多彩だ。そのため、文系・理系の科目が配置されており、入門レベルから実践までスムーズに学ぶ工夫が凝らされている。また、海外でのフィールド調査に基づく研究をする学生も多いため、1年次からデータ解析やフィールドワークの手法も習得できる。

 教員の多様なバックグラウンドを反映して、「資源環境管理学」「実証的国際開発学」「開発金融経済学」「農業環境学」などの分野があり、学生自身の研究テーマに最適なものを選べる。さらに同研究科では、教員自身が学融合的な研究を行い、その成果を実践すべく内外の援助機関、政府機関、企業と連携しているため、国際協力機構(JICA)やコンサルティング企業の実務者による授業もある。留学生も多く、授業の半数以上は英語で行われる。

学生の声

貧困解消を視野に質のいい災害復興を途上国に根付かせる

国際協力学専攻 博士後期課程 2年 絹川グリボスタンさん

Q.この大学院を選んだ理由は?
A.貧富の格差を是正したかった
両親は中国・新彊ウイグル自治区で大学の先生をしており、教育熱心だったため、私は多くの機会を与えてもらって大学院まで進学できました。しかし世界的に、経済力などの外的要因により十分な教育を受けられない子どもは今も多いため、そうした貧富の格差を是正したいと思いました。

Q.なぜ大学院に進んだの?
A.国際協力分野で専門性を高めたかった
貧困解消を目指すなら経済学を学ぼうと考え、早稲田大学政治経済学部に入学し、国際協力関係のゼミに入りました。大学入学前から「将来は博士号を取って国連か国際機関で働きたい」と思っていたので、国際協力分野の専門性を高めるため、東京大学大学院に進学しました。

Q.研究テーマは?
A.災害に対処する社会・地域のあり方
本田先生のゼミに所属し、地震、洪水などの大規模災害に対して社会、地域やコミュニティが対応・復興する力をどう高めるかについて研究しています。先進国と途上国で、災害の影響や対応力をデータとして比較する時、大学で開発経済を学んだ経験が役立つこともあります。

Q,卒業後の進路は?
A.大学の教員か、データ分析の仕事を希望
大学で研究を続けながら、学生さんを指導できたら理想的ですデータ分析が好きなので、国連などの国際機関や企業でそうしたスキルを生かすことも考えています。国ごとのマクロデータだけでは見えないことも多いので、1つの国を訪れて災害に関するミクロデータを集め、分析したいです。

Q.今後の目標は?
A.途上国で大規模災害の被害を減らしたい
大規模災害の被害を減らすためには、事前の備えに注力するか、起こった後の復興に注力するか、2つのアプローチがあります。金銭的な余裕がない途上国では、住民の防災意識を高めながら次の被害を防ぐ「質のいい復興」を重視し、政策策定などに生かせればと思います。

ネパールで地震被害を受けた農村でのインタビュー調査

先生から

文系・理系が融合した学際性が大きな強み

本田 利器先生 国際協力学専攻 教授

ハイチ、ネパール、台湾をはじめとして、国内外の被災地の復興過程の調査を行ってきています。災害復興には多岐にわたる知識、現場での解決力が必要なので、本研究科の「学融合」は大きな強みになると考えています。

学校情報

東京大学
取得可能な学位:修士/博士
定員:修士20人、博士10人
学費:28万2,000円(入学金)、26万7,900円(修士、半年)、26万400円(博士、半年)

奨学金情報

約20の国際卓越大学院教育プログラム(WINGS)を展開。各WINGSの履修生には、奨励金など経済支援を行っている。

入学試験方法

●一般選抜(書類選考、筆記試験、面接等)
●外国人等特別選考(書類選考とオンライン面接等)

※詳細はウェブサイトなどでご確認ください。

『国際協力キャリアガイド23-24』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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