国連本部で集中研修を受ける
上智大学大学院 グローバル・スタディーズ研究科
「働きながら修士号を取りたい」に対応
上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科は、「国際関係論専攻」「地域研究専攻」「グローバル社会専攻」の3専攻を外国語学研究科(現・言語科学研究科)から移設し、2006年に開設された。民族対立や環境破壊、移民・難民、感染症などグローバルな問題が顕在化する中、複数の学問分野が協働し解決策を研究してきた。同研究科はさらに、平和協力・平和構築および経済・社会・教育開発を含む持続可能な開発の分野で専門性と実践力を兼ね備え、国際機関などで働ける人材を育てるため、2021年に新たな専攻を設置する。それが「国際協力学専攻(修士課程)」だ。主に社会人を対象としており、授業は平日の夜間や土曜に集中している。2年間の学費で3年履修できる「長期履修制度」や、逆に最短で1年で修士号を取得する「早期修了制度」を設ける予定だ。 同専攻の立ち上げに携わった林裕佳・経営企画グループ長は、「本学では2015年に国際協力人材育成センターを設立し、学生の海外実地研修を支援したり、一般向け公開講座を行ったりしています。国連機関、国際金融機関、国際NGOなどに勤めるには多くの場合、修士号の取得が必要ですが、同センターの公開講座でアンケートを取ったところ、『働きながら修士号を取りたい』という回答が圧倒的に多かったことが、今回の新専攻の設置につながりました」と語る。
国連機関や海外事務所で実務研修も
同専攻では専門科目として、「平和協力論」「平和構築論演習」「持続可能な開発論」「開発政策研究」などを開講する予定だ。授業の大部分は英語で行われる。講師には現職・元職を含めて、国連機関、世界銀行などで経験を積んだ実務経験者が揃い、実践力を鍛えることができる。国際協力人材育成センターなどがサポートする海外研修も目玉だ。「これまで築いてきたネットワークを生かし、ニューヨークやジュネーブの国連機関はもちろん、各国の国際協力組織の事務所や国際機関の拠点が多く設置されているバンコクなど、多種多様な舞台で実務を体験する機会があります。難民対策や治安維持を含めた平和構築分野、経済・教育など幅広く活躍の機会がある持続可能な開発分野は、いずれも日本人の貢献できる余地がまだまだあると考えているので、社会人や学部生で意欲のある皆さんの参加に期待します」と、植木安弘教授(国際協力人材育成センター長)は語る。
入学試験は2020年11月と2021年2月の2回行われる予定で、書類審査とオンライン面接で合否を決める。課題としてエッセイや研究計画書、英語能力の証明書(TOEICスコアなど)の提出が必要となる。
『国際開発ジャーナル』2020年10月号掲載
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