「知と実践の融合」を目指し 1年時から海外実践教育を推進
<鳥取大学>

2020年2月から3月にかけて実施されたウガンダでの病院視察


鳥取大学 国際交流センター

ウガンダやメキシコで国際理解の実践教育

 鳥取大学は、2004年に高等教育の国際化の動きを受けて「国際交流センター」を設立し、学生の海外派遣や留学生の受け入れに力を入れてきた。具体的には、海外派遣プログラムの開発とそこに参加する学生のための国際教育(海外安全教育や異文化理解教育など)や、留学生のための日本語教育、日本文化・社会教育、日本文化体験学習の企画・運営である。  その後、2012年に文部科学省「グローバル人材育成推進事業」に採択されたことがきっかけとなり、海外派遣プログラムをさらに拡充している。安延久美センター長(農学部教授)は、「本学では実践的な学びを取り入れており、米国やカナダなどの大学で学ぶ英語研修プログラムがあります。特筆すべきは、外国語や国際協力に必要な知識を学びながら、視察やフィールドワークもできる『海外実践教育プログラム』です」と説明する。1年生から参加できるウガンダの同プログラムでは、同国最大のマケレレ大学でアフリカの開発課題や歴史・文化について英語で学ぶほか、現地の農業研究施設や病院、国際協力機構(JICA)事務所など数カ所を視察する。一方、メキシコの同プログラムは3年生以上向けで、英語とスペイン語で開発関連の高度な知識を現地で習得しつつ、地球規模課題の解決を見据えたフィールドワークに参加させている。  アジア圏ではマレーシアのマラヤ大学とともに「多文化協働実践プログラム」を行っている。参加学生は英語を学ぶ傍ら、マレーシアの文化・歴史についての講義や伝統音楽の体験学習もする。このプログラムの最大の特徴は、お互いの国の文化を、両国の学生同士で学びあう「協働」にある。さらに、参加学生はマラヤ大学の学生と共同生活を送ることも特徴だ。言語や文化の違う海外でも受け身にならずに、プレゼンテーション力や協調性を磨くのが狙いだ。

グローバル人材の認定制度も

 安延センター長は、これらの海外派遣プログラムについて「事前事後調査によると、参加学生は課題発見力、異文化理解力、英語力、プレゼンテーション力などが向上したという結果が出ています。『初めは戸惑ったが楽しかった。また行きたい』『進路を決める良いきっかけになった』と喜ぶ学生も多いです」と語る。こうした海外派遣プログラムの他に、一定以上の語学力、指定された講義の単位取得、交換留学や留学生との交流、海外プログラム参加などでポイントをためると認定証が授与される「鳥取大学グローバル人材育成教育(TOUGH)プログラム」もある。国内、海外を問わず、学生が自ら選択しながら成長できる仕組みを作っている。  新型コロナ対策のため、例年8月に行われている海外派遣プログラムはリモートで実施する。しかし、これを機会にリモート学習と現地体験とを融合した新しいプログラムも構想中だ。

『国際開発ジャーナル』2020年6月号掲載
#大学の国際化最前線 #鳥取大学

 

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