八千代エンジニヤリング(株) 創業60周年スペシャルインタビュー

―社長就任、おめでとうございます。まずは 60 周年を迎えた今の抱負をお聞かせください。 

 人口増加や環境問題は「保全」という新たな価値観を生み出し、気候変動や多様性といった新たな社会課題も次々に出てきている。新型コロナウイルス感染症の流行期に起こった情報通信技術(ICT)の進化や、ロシアによるウクライナ侵略を見ても、とにかく今は変化が速く、それに伴うインパクトも大きい。

 

 そうした社会の変化に挑み、課題を解決するには、常に新しい視点を模索する必要がある。そうしないとコンサルティング企業として生き残れないだろう。当社の社名は「千代に八千代に生き続け、未来永劫に渡って、人類社会のために貢献し発展してほしい」という願いに由来する。変えるべきところは変える一方、社会の目まぐるしい変化に飲み込まれても焦らず、竹のようにしなやかな安定した社内基盤をつくることも、必要だと考える。

 

 創業時から掲げる目的「社会貢献」「価値創造」、そして社風としての「社員の誠実さ」「風通しの良さ」は変えないようにしたい。

 

―変えるべきなのは、どのようなところでしょうか。

 当社では長期経営方針(2018-2027 年)のビジョンとして「この世界 に、 新しい解を。」 を掲げている。「新しい解」は英語だとinnovative solutionだが、当社がこれまで手掛けてきた社会インフラ整備だけでなく、ICT の進化なども意識したイノベーティブな解決策を社員が生み出し、途上国の産業発展や、人々の暮らしの向上につなげることを目指す。
 

 そこで、2021年7月に第 1次中期経営計画(2018-2020 年)を策定して、第2次計画(2021-2023年)を開始した。地球環境・社会・ガバナンス、そして持続可能な開発目標(SDGs)をより強く意識し、信頼される企業としてのプレゼンスを高めるため、全社方針として「サステナビリティ経営」を掲げた。社会の要請に応じたリスクマネジメントの強化、働き方改革などを進めてきたほか、ビジネスモデルも今までと変えるべき部分もある。キーワードは「共創と変革」だ。

―これからは異業種と共創するということですね。

 同業者のコンサルティング企業との連携にとどまらず、日本の中小企業や異業種との「共創」を進めていく。日本の中小企業が持っている技術には質の高いものが多く、エンジニアの基本的能力もしっかりしているので、途上国支援に適用していきたい。最近、民間企業から提案のあった技術はバイオマス発電のプラント、新しいセメント関連技術、水資源関連などがある。民間企業は、われわれコンサルタントを「企業価値を高めてくれるパートナー」と見ているので、共創すればわれわれのモチベーションを高めることにもつながり、お互いに win-win になれる。
 

 官民連携(PPP)や海外企業との連携もこれから進めていきたい。海外企業は、対象国の制度やシステムなど、われわれでは対処しにくい部分を補完してくれるので、良いパートナーとなりうる。

 

―特に力を入れている、あるいは入れていきたい国・地域は。

 当社は歴史的にはアジア地域での実績は多くなっている。1980年代から関わっているインドネシア・メラピ火山の噴火を受けた火山防災を始め、同国スラウェシの地震・津波災害による復興業務、バングラデシュのダッカごみ処理能力向上を目指したマスタープラン作成、職員研修などを手掛けてきた。これは日本政府が推進する「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」とも合致している。

 分野的には、防災が当社の最も注力する分野といっても過言ではなく、「八千代ブランド」という声もしばしば上がるほどだ。2011 年に東日本大震災が起こった後、われわれは復興作業に携わった。外国人を被災地に招いて防災研修(実際は教育プログラムに近い)を行ったこともある。アジアは地震や津波の被害を受けることも多いので、日本企業の技術力を生かして社会貢献度の高い防災分野など、質の高いインフラ整備に挑み続けたい。
 

 もちろん、アフリカのチュニジアや大洋州のフィジーで洪水対策を行った実績も生かして、アジア以外でも要望に応えていく。

 

―最後に人材育成など、今後の展望を教えてください。

 創業以来、さまざまな分野で大小含めて1,000 件を超える案件に携わり、対象国は 150 カ国にもなる。今後は防災を含め、SDGs の17の目標全てを対象として、積極的に取り組んでいきたい。
 

 すでにネパールの安全な上水道整備、ハイチの福祉・医療施設整備、ミャンマーの地域貧困格差解消といった案件に取り組んでいる。また、SDGs を意識した新たなシステムの開発も開始した。河川を流れる人工系ごみを検知するシステムで、「RIAD」という名称で、東京理科大学と共同で製品化した。
 

 また、スマートフォンで建設現場を撮影し、コメントを入力すれば進捗管理が容易にできる「i-MASTER」も実用化済みだ。i-MASTER を国内で導入したら現場の生産性が 30%上がったとのデータもある。
 

 SDGs の達成は、日本の技術と人材の両輪で目指す必要がある。当社は海外案件に対応するため、現地事務所での採用なども選択肢として考えている。また当社は2021 年7月から、海外案件を部課制からチームをコアにしたプロジェクト制に変革した。チームメンバーで助け合いながら案件をこなすことで、効率よく若手日本人のリーダー級人材を育てる方針を取っている。
 

 最後に、今後も総合建設コンサルタントとして技術力と創造力を鍛え、途上国の人々に寄り添いながら、次の 10 年、100 年につなげて多様な社会課題に貢献していきたい。

 

高橋努 代表取締役社長執行役員

新潟県出身。1986年、新潟大学理学部卒業後、八千代エンジニヤリングに入社。2019年7月、経営企画本部本部長兼事業開発本部本部長兼第一開発室室長兼環境部門部門長、同年9月に常務執行役員に就任。21年9月に代表取締役兼専務執行役員に就任。22年9月26日から現職。

 

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