<無償資金協力>
ODAによる小児科医療支援を紡ぎ診療・患者サービスの質向上に貢献
エジプトの首都カイロにあるカイロ大学小児科病院は、日本の政府開発援助(ODA)により1982年に建設された。また、技術協力の「カイロ大学小児救急医療プロジェクト(1996 ~2002)」で医療機材の供与も行っている。
カイロ大学小児科病院は同国における小児医療専門の公的医療・教育機関として、貧困層への小児医療サービスの中核的役割を担ってきたが、近年の人口増加により全国から患者が集中し、外来患者が設計収容人員数を超えている状況にあり、病院機能・教育研修機能に負担が掛かっていた。このような状況下で、同国政府より研修・リハビリ機能を備え内科診療に特化した外来診療棟の建設と関連機材供与の要請があった。
現地調査、同国の建築法の緩和などを経て 2015 年に本案件に関する交換公文(E/N)が日本・エジプト両国間で取り交わされた。日本の ODA による同国の小児科医療支援が紡がれたのである。
本計画の建屋は地下1階、地上8階建てであり、建設地の地盤が脆弱で、三方を隣接建屋・塀に囲まれているため、隣地への影響を考慮しながら地盤改良とシートパイル敷設、その後の隣接建屋の傾き変異の継続測定を実施した。また、建屋東西面が隣接建屋の塀から50cmも離れていないため、仮設足場の施工や安全管理に関して慎重に計画した。一般的に無償資金協力案件には、十分な敷地スペースが確保されているものだが、今回は極めてまれな建設環境下での施工管理を求められた。
本計画の実施により、既存病院の患者集中量の分散が見込まれることと、現状3病院に分散している診療科を集約することで、これらの施設の診療・患者サービスの質の向上と医療教育・研修の一層の充実が期待される。
■コンサルティング
・株式会社日本設計
・ビンコーインターナショナル株式会社
■施設建設
・大日本土木株式会社
■機材調達
・伊藤忠商事株式会社