<無償資金協力>
地すべり対策で最重要幹線道路の円滑な交通確保に貢献
中米・カリブ海地域は毎年のようにハリケーンや豪雨被害に見舞われており、気候変動リスクの非常に高いエリアである。カリブ海に面するホンジュラスも、気候変動リスクの観点から世界で最も脆弱な国の一つに位置付けられており、雨季には集中豪雨による土砂災害が頻発し、道路網が甚大な被害を受けている。そのため、主要幹線道路における脆弱性の軽減と克服、その実現を通した円滑な交通の確保は喫緊の課題であった。
中でもホンジュラス~ニカラグア間の物流を支える国道6号線は、交通量が約 8,000 台/日に上る最重要幹線道路で、今後も交通量の増加が見込まれる大動脈だ。ただ、その経路は山岳地帯を抜けることから、落石や地すべりなど自然災害リスクが極めて高く、災害発生時には長期にわたる通行止めと、それに伴う大幅な迂回(約50km)を強いられ、経済・社会活動への影響も大きかった。
このため日本政府が無償資金協力で支援した本計画では、最重要幹線道路である国道6号線上の3カ所で地すべり対策を講じ、自然災害に対する脆弱性の軽減を図るとともに、円滑な交通の確保が狙いとなった。交換公文と贈与契約が結ばれたのは 2017 年9月。供与額は9億 5,800 万円。
工事はフランシスコ・モラサン県とエル・パライソ県内の3カ所で実施された。首都テグシガルパから、それぞれ 14km、22km、63kmの地点で、道路状況に対応し、アンカー工や鋼管杭工、法面保護工などの地すべり対策工が行われた。また、地すべりの安定性評価とモニタリング手法、地すべり防止施設の設計手法や維持管理などに関する技術指導も実施されている。竣工は 2021 年1月。供用開始後は道路機能が強化され、円滑な交通が確保されている。
■コンサルティング
・日本工営株式会社
■施工
・株式会社安藤ハザマ
(国際開発ジャーナル21年11月号掲載)