<無償資金協力>
地域住民の笑い声の絶えない給水施設
根付いた利用者による費用負担と維持管理
25 年以上前に実施されたザンビア「ルサカ市周辺地区給水計画」。世代を超えて利用され続け、決して裕福とは言えないこの地域で、人々の笑い声とともに長い間日常の風景となっているこの給水施設は日本の援助で整備された。対象地域であるジョージ地区は、ザンビアの首都ルサカ市に位置し、整備当時の人口は約 10 万人。貧困層が多いこの地域で不衛生な浅井戸利用による、コレラなどの罹患が深刻な問題となっていた。
また、行政サービスに対する地域住民の不満が強く、バンダリズムと呼ばれる公共施設の破壊行為が横行し、施設に対するオーナーシップ意識が低いこと、給水サービスに対して料金を支払うなどという概念に乏しいことなど、課題は山積していた。
当時は、ソフト・コンポーネントもなく、コンサルタントの自前でルサカ市上下水道公社のジョージ支所を立ち上げ、同時にコミュニティー水管理委員会の形成などを通じ、利用者による費用負担の徹底、地域住民による公共水栓の管理が行われるまでになった。水道事業体と地域住民組織とのパートナーシップによる事業運営体制が整えられたのである。
25 年以上の年月が経ち、ザンビアと日本の国旗が描かれた高架水槽は、清涼飲料水の広告に代わる時もあるが、その広告料は維持管理費の一部に充てられている。それでも 25 年前に両国の国旗をデザインした料金支払いカードを握りしめ、維持管理費を支払いに
行く住民の姿は変わっていない。
完成させた8基の深井戸揚水施設は、工場からの汚染などで使えなくなった井戸もあるが、残りの井戸は今でも休むことなく、コロナ禍でも拡張地域を含め 30 万人に増えた住民に安全な水を安定的に供給し続けている。
■コンサルティング
・日本テクノ(株)
(国際開発ジャーナル2022年4月号掲載)