津田塾大学|学芸学部 多文化・国際協力学科|国際協力が学べる大学・大学院

共生型社会の実現を目指す人材を育成

 2020年に創立120周年を迎えた津田塾大学。コロナ禍により授業はオンライン化されていたが、2022年度からは全ての学年で対面での通常授業に戻っている。

 2019年4月に開設された学芸学部の多文化。国際協力学科は、異なる文化背景を持つ人々が多様性を活かしながら「共生)する社会の実現に向けて、新しいアプローチや解決法を提案できる人材の育成を目指している。1年次からセミナーが必修で、国際関係や3~4年次に行うフィールドワークの基礎知識をしっかり習得するなど、授業の密度は濃い。

 2年次には、三つのコースのいずれかに所属する。「多文化共生コース」では、多言語教育や多文化理解を含む視点から、多様な人々が共に生きるための方法を探る。「国際協力コース」では、環境や平和構築など開発課題の解決を目指し、国際協力の歴史・理論・実践を地域の人々の視点から学ぶことで、新しい国際協力の枠組み・あり方を考える。「国際ウェルネスコース」では、生命の危機にさらされる人々から先進国の人々まで含めて、人間がさまざまな意味でよりよい状態であるために必要な取り組みとは何かを突き詰める。

 英語教育にも力を入れており、特色のある科目は2~3年次で学ぶ「MI(Multicultural Studies/International Cooperation)英語」。貧困や感染症など、学科の学びに関連するテーマを教材として採用し、実践的な力を磨くことができる。

環境問題を”自分ごと”に

 温暖化、炭素吸収なども含め、人と環境の接点を専門的に考える「環境問題」という選択制の授業があります。環境の変化が起こってきたときに、国内外問わず最初に気づくのは都市に住む者ではなく、農家など自然を相手に暮らしている人々。気候変動によってどんな変化があるか、どんなことが継続できなくなっているのか、それを乗り越えるために人々がどんな工夫をしているかなどを伝えています。カーボンニュートラルという国際的なミッションがローカルに降りてきたとき、暮らしにどう影響を与えるのかなども現場の視点から考えます。都市に住んでいると温暖化を”自分ごと”としては捉えにくいからこそ、リアルに考えられるきっかけを提供しています。

現場を知って自分の目を養う

八塚春名先生(学科准教授 生態人類学。人が自然資源を利用して食料を得る営みを研究。フィールドはアフリカのタンザニア。)

八塚春名先生(学科准教授 生態人類学。人が自然資源を利用して食料を得る営みを研究。フィールドはアフリカのタンザニア。)

 フィールドで研究をしていると、開発援助によって現場の人々が翻弄されたり、逆に地域が求めるような援助が来なかったりという現実を目の当たりにします。国際協力や開発援助にできることはたくさんありますが、万能ではない。だからこそ現場のリアルな状況をきちんと知ることが大事だと授業で伝えています。「アフリカのかわいそうな人たちを助けたい」と学生は言いますが、何を指してかわいそうと言うのか、学びを深めていくと自分で検証して突き詰める力を持てるようになります。津田塾大学は、自分の関心ごとを複合的に考えていくためのさまざまなチャレンジができる場だと思います。

使って!この授業・この制度

 2年次の必修科目である「社会調査法」では、アンケートや統計といった量的調査やインタビューなどの質的調査の方法と、研究倫理を学びます。その上で、選択科目には「フィールドワークの実践」があり、私が担当するフィールドワークでは都内の農家さんを訪問し、どういう工夫をしてどんな作物を育てているかなどを調査します。インタビューに加え、農家さんと一緒に作業をしながら参与観察をするのが重要。フィールドワークの楽しさと難しさを体得します。学生たちは試行錯誤して成長しています。世界の食文化とそれを取り巻く環境や社会の問題について考える「食と環境」という授業もイチオシです!

学生(卒業生)の声

宇津田蕗さん(学芸学部多文化・国際協力学科4年生)

宇津田蕗さん(学芸学部多文化・国際協力学科4年生)

 小学1年生から地球温暖化に興味を持ち、高校までずっと夏休みの自由研究で調べてきました。温暖化は科学的な視点からだけでなく、人文社会学的な視点からも考えるべきだと思い、充実した英語教育と自主自立の校風にひかれ、津田塾大学に入学。多文化・国際協力学科の第一期生だったので、のびのびと勉強できるのではという期待もあり、その通りの濃い学びがたくさんありました。温暖化対策としては、すでに排出された二酸化炭素と熱を吸収固定するために森林の保護育成が有効と考えたのですが、ただ木を植えようと言っても多くの関心は得られません。そこで、ミツバチを取り上げたらおもしろいのでは?と考え、研究テーマにしています。地方の養蜂家さんにインタビューしたところ、花が咲くタイミングがミツバチのサイクルとずれてきているなど、私が思った以上に環境の変化を感じている方が多かったです。今後のフィールドワークでは、都市で行われている養蜂にも着目し、さまざまな養蜂家さんに話を聴きたいと思っています。

「フィールドワークの実践」にてトマトの選別と袋詰めをしている学生たち

「フィールドワークの実践」にてトマトの選別と袋詰めをしている学生たち

養蜂体験の様子

養蜂体験の様子

学校データ

・名称:津田塾大学|学芸学部 多文化・国際協力学科
・取得可能な学位:学士(多文化・国際協力学)
・定員:70人
・学費:大学ホームページをご参照ください。
・奨学金制度:日本学生支援機構のほか、大学独自の奨学金あり
・所在地:〒187-8577 東京都小平市津田町2-1-1
・Tel : 042-342-5113(経営企画課)
・Mail:kouhou@tsuda.ac.jp

『国際協力キャリアガイド22-23』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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