東京医科歯科大学|大学院医歯学総合研究科グローバルヘルスリーダー養成(MPH)コース|国際協力が学べる大学・大学院

世界に通用する公衆衛生学の修士号を取得

 東京医科歯科大学は、1928年に日本初の歯科医学教育機関として設立された。44年に医学科を設置し、以来、医学、歯学の実務者、研究者を送り出してきた。

 文部科学省のスーパーグローバル大学創生支援事業にも採択された同大学の「グローバルヘルス推進人材育成構想」の一環として、2018年に開設されたのが、大学院(修士)医歯学総合研究科医歯理工保険学専攻グローバルヘルスリーダー養成コースだ。最大の特徴の1つが、国際的に通用する公衆衛生学修士号(Master of Public Health in Global Health)が取得できることだ。

 コアコース科目として、生物統計学、疫学、行動科学、環境保健、保健システム・マネジメントの基本5領域に加え、近年注目されている学問領域の傾向も重視し、グローバルヘルス、プラネタリーヘルスを必修としている、さらに選択科目では、母子保健、医療ビジネス論、統計解析アドバンス、社会疫学等も選択できる。医療関係の知識がない学生のたえに公衆衛生生物学も用意している。1年次は講義、自分で決めた研究内容のシステマティックレビューを行い、2年次は海外を含む現場でフィールド研究に従事する。

 講義は全て英語で行われ、中国やタイ、ミャンマーなど東・東南アジア、さらにガーナやケニアなどのアフリカ、最近は中央アジアmオセアニア、米国、ヨーロッパからも優秀な学生が集まる。多様なバックグラウンドを持った学生との共同研究や議論が学習効果を高める。

 TOEFLiBTスコア80点以上、またはIELTSスコア6.5以上が求められる。海外在住などでもeラーニングでの受講が可能。医学的バックグラウンドを持たない人の入学も可能だ。

SDGsへの取り組み

 2022年4月に「ウェルビーング創成センター(Center for Well-being Research Advancement CWRA)を開設しました、米ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院との連携をさらに深めて、SDGs推進のためのウェルビーング創成に取り組んでいきます。

 公衆衛生(Publich Hearlth)は、集団に対する働き掛けを重視、なぜ人々が病気になるのかを探る疫学や、予防医学、ヘルスプロモーションに取り組みます。特に重要なのは、コロナでも実感されているように、ヘルス・コミュニケーションやリスク・コミュニケーションです。同センターは途上国を中心に世界中で活動しているジョンズ・ホプキンス大学のコミュニケーション・プログラム・センターの手法を学び、学生が共同で実践していきます。

多様性ある学びを修了後も

藤原武男先生(大学院医歯学総合研究科教授(国際健康推進医学分野)専門は、公衆衛生学、疫学(社会疫学、ライフコース疫学))

藤原武男先生(大学院医歯学総合研究科教授(国際健康推進医学分野)専門は、公衆衛生学、疫学(社会疫学、ライフコース疫学))

 MPHの取得と並ぶ同コースの特徴は、ダイバーシティ(多様性)が確保された環境です。世界各国から集まった学生が、自国または他国でのテーマを設定して、アクティブラーニングを実践します。各国の状況が反映され、指導する私たちもすごく勉強になります。コロナ禍で対面授業ができないケースもありましたが、AIを活用した自動追尾式のカメラやマイクも導入し、ハイブリッド形式の授業も充実させました。

 コース開設から5年がたち、修了生が成果を病院や行政分野で生かす段階を迎えました。修了生たちが2~3カ月ごとに集まり、各国の事例について議論する取り組みも始めます。

使って!この授業・この制度

 同コースでは、米国のハーバード大学公衆衛生大学院やジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院などの教授陣も講義をしています。海外でのMPH取得は負担も大きいですが、日本にいながらハイレベルの講義を受けられ、国立大学のため、学費も欧米のように高額ではありません。

 公衆衛生学の特性と、「課題を解決したいという意志があれば、医療者である必要はない」との考えから、医学的なバックグラウンドを持たない人にも門戸を開放。医学の基礎を学ぶカリキュラムを用意するとともに、他分野の知識や経験を生かした議論も期待しています。eラーニングも展開し、仕事を持つ人も学びやすくなっています。

学生(修了生)の声

議論で諸外国の状況を知り、新たな視点を獲得

三田直侑さん(医歯学総合研究科 医歯理工 保健学専攻 修士課程 グローバルヘルスリーダー養成(MPH)コース 2022年3月修了)

三田直侑さん(医歯学総合研究科 医歯理工 保健学専攻 修士課程 グローバルヘルスリーダー養成(MPH)コース 2022年3月修了)

 大学の学部では、政治学と薬学を勉強しました。グローバル企業で働くようになり、各国のさまざまな状況にある人が医療にアクセスできる方法を考える中で、このコースへの入学を決めました。

ハーバード大学の教授による講義

ハーバード大学の教授による講義

 入学の決め手は、グローバルリーダーの育成を目指していることでした。生まれ育ちや教育・経済的状況などと病気との関係を探る社会疫学を学びたいということもありました。藤原武男先生や学外の先生の講義にもひかれました。フルタイムの勤務に加えて育児もしていたので、eラーニングが充実していることや、国立大学ということで学費も抑えられる点もよかったです。

グループワークの様子

グループワークの様子

 学習面では、海外からの優秀な学生さんや先生方とディスカッションする時間が多いことが魅力です。たとえば、難民キャンプや開発途上国の電気の供給もままならない状況で人々の健康をいかに守っていくのかなど、新しい視点を得ることができました。自分でフィールド研究ができるよう、先生方がご支援くださったことも大きいです。英語で学習したことで、海外の方と専門的な議論をする時でも英語が自由に使えるようになりました。

学校データ

・名称:東京医科歯科大学|大学院医歯学総合研究科グローバルヘルスリーダー養成(MPH)コース
・取得可能な学位 修士(グローバル健康医学)
・定員:9人
・学費:入学金28万2,000円、授業料53万5,800円(年間)
・開講形態:昼、eラーニング対応も可能
・奨学金制度:あり
・所在地:〒113-8510東京都文京区湯島1-5-45
・Mail :
◆教務に関するお問い合わせ窓口
jd@ml.tmd.ac.jp
◆入試に関するお問い合わせ窓口
nyu-grad-02.adm@tmd.ac.jp
◆ビザ申請・奨学金に関するお問い合わせ窓口
fssu@ml.tmd.ac.jp

『国際協力キャリアガイド22-23』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

キャリア相談をする

タイトルとURLをコピーしました