株式会社JIN|国際協力に携わる企業

途上国の人びとに真摯に寄り添う

 「新型コロナウィルス感染症の流行は、本当に悲しい経験でした。しかし、私たちにとっては、初心に帰るきっかけにもなりました」と語るのはJINの代表取締役の大野康雄氏。

 コロナ禍で禁止されていた海外渡航の許可がおり、約1年半ぶりに訪れた現地には、再会を心から喜んでくれる住民の姿があった。誰もが辛かったはずなのに、みんな笑顔で待っていてくれたのだ。「この仕事をしていて本当に良かったのだと感じた瞬間でした。そして、途上国の皆さまに寄り添いながら、現地のためになることを真摯に継続していくことの大切さを再認識することができました」

 同社は、2011年の創立以来、アフリカを中心に多くのプロジェクトを展開しており、複数の国際援助機関がかかわる難易度の高い案件でもその存在感を示してきた。社員数も20名を超えるほどに成長してきている。

 しかし、会社の規模が大きくなっても、実施案件の数が増えても、忘れてはならないことがあるのだという。「それは、私たちの仕事は、途上国に住む一人ひとりの『人生』と向き合っているということ。だからこそ、我々は、現場の方々の習慣や考え方、その背景にあるもの全てに敬意をはらいながら、地道に信頼関係を築いていくことを一番に考えなければならない」

 同社が求める人材は、「相手と同じ目線になりながら、真摯に努力を続けられる人。」教科書通りの知識や専門分野の知見ばかりを追い求めるのではなく、豊かな人間性や謙虚さ、そして、国際協力全体の質を高めようという気概をもった人材のチャレンジを期待している。

当社の2030年構想

「生涯ここで働きたい」
という会社を目指して

「人を大切にする会社をどう実現していくか」JINが創業当時から主軸に据えているテーマです。途上国の皆様やクライアントの方々はもちろん、働く社員のことも真剣に想える会社を目指してきました。

 例えば、同社は、女性活躍推進法に基づく「えるぼし」認定を受けていますが、認定は目的ではなく、会社づくりの過程の一つに過ぎないと考えています。最終的には女性も男性も「生涯ここで働きたい」と思える会社へと成長していくために、能力開発やキャリア形成も含めて、一人ひとりの社員と対話しながら労働環境も含めた会社の在り方そのものを考え続けています。

社員さんに聞きました

内戦の爪痕が残るウガンダ
人々の所得アップを目指す
農業支援

吉川祐作さん(事業部スタッフ)

吉川祐作さん(事業部スタッフ)

 大学1年生の授業で、1994年のルワンダ大虐殺について知り、衝撃を受けました。アフリカなど開発途上国に関心をもつようになり、翌年、縁あってエルサルバドルに渡り、農家に住み込んで種まきから収穫までを手伝いました。この経験を通じて、国際協力の仕事がしたいという気持ちが固まり、オランダの大学院で開発学の修士号を取得しました。帰国後、JINを選んだのは「現場の人々のために」という明確なメッセージにひかれたからです。

住民とは時間をかけて丁寧に対話します

住民とは時間をかけて丁寧に対話します

 入社後、インドのモデルファームで野菜栽培や農業研究を行いながら日本企業の海外進出を支援する農林水産省の事業に携わりました。現在、JINが2015年から携わってきたウガンダ北部の生計向上支援プロジェクト(フェーズ2)の調整員を務めています。北部地域は、20年近く続いた内戦の影響で、住民の9割が国内避難民キャンプで生活した過去があり、農業に適した環境にありながら、農業経験や技術の蓄積が乏しいという問題があります。これからも、人々の考え方や生活の違いを楽しみながら、農家の方々の生活の質を上げていくためのサポートを続けていきたいです。

住民の笑顔こそが私たちの歓びです

住民の笑顔こそが私たちの歓びです

イラストは活動の重要なツールです

イラストは活動の重要なツールです

略歴

・18歳:愛知県出身。名古屋市の高校を卒業後、北海道大学総合理系に入学
・19歳:大学2年次に農学部を専攻。半年間、休学しエルサルバドルで農業を学ぶ
・23歳:大学卒業後、オランダのワーゲニンゲン大学大学院へ進学
・26歳:開発学の修士号を取得。帰国後、JINに入社。現職

会社データ

・名称:株式会社JIN
・設立:2011年
・資本金:1,500万円
・従業員:23人(2022年8月現在)
・本社:埼玉県さいたま市
・事業分野:農業・農村開発、保健衛生、栄養改善、自然環境保全、平和構築、スポーツと開発、社会配慮、ジェンダー、評価分析、人材育成、中小企業支援ほか
・募集職種:開発コンサルタント(通年)、若手スタッフ(不定期)
・募集人数:若干名
・住所:〒330-0844 埼玉県さいたま市大宮区下町1丁目42-2 TS-5 BLDG.3階
・Tel:048-650-0400

『国際協力キャリアガイド22-23』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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