「島根大学大学院 総合理工学研究科 地球資源環境学コース
(英語による「地球」教育研究特別プログラム)」
総合理工学研究科には『英語による「地球」教育研究特別プログラム』という大学院の教育プログラムがある。このプログラムには先端地球科学専修分野、地球資源学専修分野および地球環境災害学専修分野がそれぞれ設置されており、その中核が大学院の「地球資源環境学コース」だ。すべての授業が英語で実施される本プログラムでは、日本人大学院生と外国人留学生が共同研究を実施することにより、相互の異文化社会の理解を深めるとともに、国際的な視野と競争力を身に付けた“専門性”がある人材の育成に効果を上げている。
これまではアジアを中心に留学生を受け入れてきたが、2014年から始まった「ABEイニシアティブ」によってアフリカ諸国からの留学生も増えており、学内の国際色が一段と濃くなっている。地球規模課題に取り組むうえで、地球科学、地球環境、大規模自然災害などの学術研究は、ますます重要かつ不可欠な分野になっている。この分野における高度な専門性と国際性を身に付けたいという意欲的な学生を積極的に受け入れていく方針だ。
先生に聞きました!
総合理工学研究科
石賀 裕明 教授
私は1998年からバングラデシュの地下水ヒ素汚染の研究に携わってきました。地下の地層(土壌)の地質学的研究と土壌の地球化学分析によって、主にヒ素化合物の溶出メカニズムの解明に努めています。バングラデシュでは、本学とNPO法人「アジア砒ひそ素ネットワーク」が環境課題の対処のために人道支援を行っており、またネパール、モンゴル、キルギスタンなど広くアジアから留学生を受け入れています。彼らはすでに研究者として自立しており、本学の学生が現地で学ぶための環境が整備されています。
最近は関係の深いスリランカの大学と共同で環境課題の研究、改善活動に取り組んでいます。スリランカは内戦が2009年に終結し、今後は現地の大学における研究の深化が期待されており、本学の学生がその一翼を担える人材に成長していくことを期待しています。
学生さんに聞きました!
総合理工学研究科 地球資源環境学コース 修士課程1年(取材当時) 林 優子さん
高校生の時に環境問題に興味を持ち、総合理工学部地球資源環境学科に入学しました。学部時代は環境地質学を基礎とした河川環境の変化について勉強し、さらに環境問題に関する研究を深めて、将来的に研究者を目指すために大学院への進学を決めました。
環境問題の研究者になろうと決意したのは、学部時代にスリランカで地下水汚染問題に取り組む技術者や研究者が、真剣に問題解決に取り組む姿を目の当たりにしたからです。海外ではその国に最も適した問題解決能力が必要であり、特に開発途上国では先進国からの技術協力が欠かせないと感じました。この時の経験から、自分自身も地質技術者となって国際社会に貢献したいと強く思いました。
研究室には現在、タンザニアやギニアなどからの留学生が在籍しており、彼らとともに環境地質学の研究に取り組んでいます。留学生との日常会話は英語で行い、外国語によるコミュニケーションの難しさを日々感じています。他方で日々の会話を通じて他国の考え方や文化、伝統を理解することは、他者を尊重するうえで非常に大切だと考えられるようになりました。専門性を深めると同時に、グローバルな視野を養えるのは大きなメリットです。
大学院修了後は、アジアにおける多様な環境問題についてさらに研究を続け、早く後輩たちの研究活動を指導できるよう頑張っていきたいと思っています。
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