オネク デニス オベディさん|海外で働く建設・技術者インタビュー事例集

海外で働く建設・技術者インタビュー事例集

社員インタビュー

日本留学

出身地ウガンダの公用語は英語のため、留学といえば英語圏に行くのが普通です。でも、私は自動車や電化製品など、日本の高い技術力に関心があり、さらに、青函トンネルや明石海峡大橋などの大型構造物への憧れもあったため、日本に来たいと思っていました。東京で1年間、日本語を勉強した後、高等専門学校に入りました。

入社後

大学時代は建物の構造を研究していたので、“構造屋”になりたいと思っていました。鉄道部に半年勤務した後、念願叶って構造部に異動になりました。東日本大震災を受けて耐震基準が見直され、首都圏を中心に各地の橋梁の耐震評価を行い、どのように補強するかを提案しました。補強することによって、耐震設計という考え方がまだあまりなかった時代に設計された構造物が現代の耐震設計基準の規定を満たすようになり、「これはすごい」と感動しました。

現在

視野を広げるために会社を休職し、英国の大学院で都市計画を学びました。復職後の現在は、希望していた国際事業本部の交通・鉄道プロジェクト部(当時)で、フィリピン国南北通勤鉄道事業の詳細設計業務に従事しています。マニラに2カ月滞在し、日本で2週間過ごすという生活の繰り返しです。鉄道事業は、線路や車両、信号システムなど、道路や橋梁に比べ幅広い技術が関連します。そのため関係者も多く、みんなでさまざまな意見をぶつけ合いながら、同じ目的に向かってチームとして連帯感を強めています。

印象深いプロジェクトや業務は?

エンジニアとして一番成長できたのは、川崎港臨港道路(東扇島~水江町線)整備事業における水江町側橋梁アプローチ部の詳細設計です。自分の担当は橋梁の構造設計でしたが、周辺の工場地域との交渉役も担うことになりました。というのも、その地域には水道や電気、化学薬品などを通すパイプが張り巡らされていたため、それらを所有する会社と協議を行い、移設計画を作成した上でないと事業を進めることができなかったからです。私自身、こうした交渉事を行うのは初めてで、所有会社も機密情報をなかなか開示してくれず大変でしたが、非常にやりがいのある仕事でした。

この仕事を目指す読者へ一言

海外では、日本で起こらないようなことが毎日のように起きたり、日本では当たり前にあるものがなかったりします。そういう時に「これは違う」「これがない」と嘆くのではなく、与えられた環境の中で自分の役割をどのように果たすのか、を考えることが大切です。さらに、コンサルタントとしてはその分野において、顧客よりも高い専門性を身に付けておく必要もあります。簡単な仕事ではありませんが、常に新しいことに興味を持ち、付加価値を創造し続けられるのが、コンサルタントの魅力です。

オネク デニス オベディさん(パシフィックコンサルタンツ 国際事業本部・国際プロジェクト部 交通・鉄道インフラ室)

これまでの主な担当プロジェクト
●川崎港臨港道路東扇島水江町線水江町側アプローチ部等実施設計
●フィリピン・南北通勤鉄道事業(マロロス-ツツバン)詳細設計調査

Career Path

22歳
福島工業高等専門学校3年次に編入

25歳
福島高専卒業 首都大学東京・都市環境学科3年次に編入

27歳
首都大学東京卒業 パシフィックコンサルタンツ入社

30歳
英国ウェストミンスター大学大学院に留学

31歳
復職して国際事業本部に配属

会社情報|パシフィックコンサルタンツ(株)

ヨランダ台風がフィリピンに甚大な被害をもたらしたことを受け、同社は地域住民と共に復旧・復興支援プロジェクトを推進した

世界トップ50を目標に国際展開を加速

2017年現在、約20億円規模の国際ビジネスを、2030年には250億円規模に拡大する――。パシフィックコンサルタンツは、この目標を掲げ、国際展開を加速している。政府開発援助(ODA)業務だけでなく、外国政府機関や民間企業との直接取引を増やしていく方針だ。海外の有力パートナーと提携を進める一方、2016年にはアジアを中心とした営業拠点となる子会社をシンガポールに設立。今後2年を目処に国際事業本部を国際事業会社として独立させ、国内部門と両輪でコンサルティング分野で世界トップ50社の仲間入りを目指す。

注力している事業分野は、新興国や東南アジア各国で需要が多い運輸・交通インフラだ。線路敷設や電車運行にとどまらず、電気技術や駅の設備、給排水、さらに駅前再開発などにも広がる裾野の広い事業でもある。国内部門の経験やノウハウを生かし、それを切実に求めている世界の国々へと提供する。

また、同社は防災分野にも力を入れている。台風の被害を受けたフィリピンや、地震に見舞われたネパールでの復旧・復興事業の実績もあり、コミュニティーレベルの協議を重ねながら、日本の知見を生かしつつ現地の伝統や習慣を踏まえた防災対策を進めている。

こうした国際展開を支えるのが同社の「ダイバーシティ&インクルージョン」(多様性と統合/D&I)経営だ。国籍、言語、文化、宗教、習慣、専門分野などの異なる人材が、各人の知恵と経験を集結して、幅広い国際事業の展開へとつなげている。

POINT
・ダイバーシティ経営で国際展開加速
・運輸・交通インフラを積極展開
・現地の目線を生かす防災事業

Company data

パシフィックコンサルタンツ(株)
代表者:代表取締役社長 高木茂知
設立:1954年(創立は1951年)
資本金:4億9,000万円
従業員:1,751人
本社:東京都千代田区
海外拠点:シンガポール、インドネシア、中国
住所:〒101-8462 東京都千代田区神田錦町3-22
TEL:03-6777-3001(代表)
Email:(ウェブから問い合わせフォームで連絡)
HP:http://www.pacific.co.jp

事業分野:建設コンサルティング事業

Recruitment

募集職種:技術コンサルタント、営業、経営管理
募集人数:50人(新卒)
募集人材:文系・理系新卒・中途学士・修士

『国際協力キャリアガイド2017-18』に掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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