インドネシア インドネシアの社会保障の安定運用のために日本の社会保険労務士制度を応用|海外の土木・建設プロジェクト

南アジア

社会保障実施能力強化プロジェクト<技術協力>

専門家チーム:全国社会保険労務士会連合会

インドネシアは、2014年に健康保険実施機関「BPJS雇用」を、2015年には労働保険の実施機関「BPJS健康」を創設し、新保険制度の実施に踏み切った。ところが、適用拡大と保険金徴収の問題に直面。そのため国際協力機構(JICA)は2016年に日本で公的保険の適用・徴収機能を担う社会保険労務士(社労士)制度を応用した適用拡大支援を開始。翌年には社会保険実施能力強化プロジェクトも始動した。

さらに同国は、2018年にBPJS雇用に「Perisai」、BPJS健康には「Kader-JKN」という適用・徴収強化を担う専門職制度を創設した。そして2020年にこれらを統合した「Agenalis」という制度が社会保障審議会令に規定された。これを受け、翌年から3年間のJICA社労士制度実施国別研修が始まった。この研修では、社労士応用モデルの適用拡大・徴収に限らず、2021年実施の失業給付に伴うキャリアカウンセラーにAgenalisを活用することを検討している。なおAgenalisが日本の社労士とは異なる進化を遂げている点を踏まえ、相手国のニーズに柔軟に対応した。

困難であった点は、多岐にわたる関連組織の利害調整、特に保険実施機関間の調整だ。専門職能を統合することによるコスト削減効果、また複雑な社会保障制度を横断的に理解し、包括的に支援する専門職能の必要性などの理解を進めるため、財務省、国家企画庁など、政策官庁を議論に巻き込んだ点が奏功した。JICAの政策アドバイザーの現地での支援も受け、オールジャパンで取り組む機会に恵まれたことが幸いした。

高齢化が急速に進む同国では、日本の社労士が担う年金相談業務など、高齢化対応で活躍することも大いに期待されている。

寄稿:全国社会保険労務士会連合会 理事 小野 佳彦

 

『国際開発ジャーナル2022年11月号』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

 

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